保険診療と自由診療の違い - vol.58 -
|
歯科治療には、健康保険が適応できる保険診療と保険診療が適応しない自由(自費)診療があります。ここでは両者の違いを説明したいと思います。
保険診療とは
保険治療は、どなたでも平等な治療が受けられるように考えられたシステムですが、実はいろいろな制約があります。国によって定められたルールで、検査法・診断名・治療法で材料・治療回数・期間などにも規定があり、その範囲内で行わなければなりません。
範囲内で十分対応できる治療も多くありますが、必要最低限の範囲での保障はされても制約が多い分高品質で高精度の治療は受けられないのが現状です。
また、同じ治療内容ならどんなに丁寧に処置しても、手を抜いても、ベテランでも新人でも治療費は一律です。時間を掛けても時間を掛けなくても同じ治療費、技術があってもなくても同じ治療費、使用材料が良くても悪くても同じ治療費なのです。そのため患者さんにとっては公平なシステムでも医療者にとっては理不尽なシステムとも言えます。
自由(自費)診療とは
材料・治療内容・治療回数に制約はありませんので、十分な時間を掛け、個々に合わせた材料で治療が行えます。また保険診療とは異なり「質」の高い材料と技術で治療することが可能ですので、見た目・機能性・耐久性にも優れたものを提供できます。
個々に合わせてのフルオーダーメイド治療になります。
保険と自由(自費)診療の違いは材質の違いではありません
皆さんは歯科治療を受けた際、「保険では使用できない材質ですから長持ちしますよ」「保険の被せ物とは比べ物になりません」「保険では良いものができません」「永久的にもちますよ」などと説明を受け、保険の効かない自費の補綴物を勧められたことはないでしょうか?
材質は高額なものほど良いため、ある意味間違いではありませんが、材質の違いで長持ちするほど歯科医療は単純ではありません。
「自費の補綴物は保険の何倍も高額だから何倍も長持ちする。」「高額だから一生大丈夫」と思われている方は間違った教えを受けているかもしれませんので、ここで私の考えをお伝えしたいと思います。
材質だけで長持ちするわけではありません
材質を選択する前にきそ基本治療がしっかりなされているかに目を向けるべきです
表面上の材質だけが優れていても、中身がしっかりしていなければ決して長持ちはしません。
では中身とは何でしょう?
中身とは基本治療のことです。歯磨き指導、むし歯治療・歯周病治療・根管治療、噛み合わせの調和、など基本となる処置がどれだけ適切に行われているかが大切なのです。
基本治療が適当であったり、杜撰な状態ではいくら材質の優れた補綴物を装着したとしても見栄えだけが良いものに過ぎません。
基本治療がしっかりしていて始めて歯の寿命を延ばし、歯に被せる補綴物が生きるのです。
補綴物の精度は大丈夫でしょうか?
材質が優れたものでも削った歯にピッタリ合っていなかったり(不適合)、歯磨きができない形態だったり、噛んだ時に支障をきたすような咬合では、全く材質の意味を成しません。
材質が良いだけで判断するのではなく、どれだけの精度で補綴物が歯に装着されているかがとても重要なことで、治療した歯の寿命にもっとも大きく影響します。
精度に優れた補綴物は材質よりも重視しなければならないのは、天然歯は継ぎ目がありません。しかし人工物で補う以上少なからず継ぎ目は存在します。そのため極力隙間や段差のないような適合で治療が完了していなければ、治療した歯の寿命を延ばすことも難しいと言ってもよいでしょう。
精度が悪ければどうなるでしょう。それは材質が優れているだけの異物になってしまいます。
保険診療と自由診療の違いは中身の違いなのです
口腔内の状態・病状はそれぞれ異なりますから、もちろん原因も異なります。そのため個々に合わせた基本治療と精密な治療が相まって快適な環境に回復させることができます。そのため、材質を変えただけの治療では本来の自由診療とはとても言えず、保険診療の延長上でただ自費の素材を使用しただけになります。厳しい意見ですが、このように中身のない見た目だけのなんちゃって自費治療が実際にはとても多いのです。
銀歯を白い素材や金歯に変える治療が自由診療と勘違いしている何とも情けない歯科医もいますが、本来の自由診療は、中身のないその場しのぎの治療ではなく、将来を見据えて口腔内の健康をどのようにしたら良いか、予防法・治療法・補綴物の種類などを詳細に計画し、個々に合わせた精密で適切な治療をじっくり時間を掛けて行ない、健康な口腔内に回復させる診療ではないでしょうか。
そのため基本治療がしっかりなされて始めて長持ちするものが提供できます。
保険診療と自由診療の本当の違いは材質だけではなく、治療にかける時間や治療法、精度など「治療内容の質」なのです。
保険診療とは
保険治療は、どなたでも平等な治療が受けられるように考えられたシステムですが、実はいろいろな制約があります。国によって定められたルールで、検査法・診断名・治療法で材料・治療回数・期間などにも規定があり、その範囲内で行わなければなりません。
範囲内で十分対応できる治療も多くありますが、必要最低限の範囲での保障はされても制約が多い分高品質で高精度の治療は受けられないのが現状です。
また、同じ治療内容ならどんなに丁寧に処置しても、手を抜いても、ベテランでも新人でも治療費は一律です。時間を掛けても時間を掛けなくても同じ治療費、技術があってもなくても同じ治療費、使用材料が良くても悪くても同じ治療費なのです。そのため患者さんにとっては公平なシステムでも医療者にとっては理不尽なシステムとも言えます。
自由(自費)診療とは
材料・治療内容・治療回数に制約はありませんので、十分な時間を掛け、個々に合わせた材料で治療が行えます。また保険診療とは異なり「質」の高い材料と技術で治療することが可能ですので、見た目・機能性・耐久性にも優れたものを提供できます。
個々に合わせてのフルオーダーメイド治療になります。
保険と自由(自費)診療の違いは材質の違いではありません
皆さんは歯科治療を受けた際、「保険では使用できない材質ですから長持ちしますよ」「保険の被せ物とは比べ物になりません」「保険では良いものができません」「永久的にもちますよ」などと説明を受け、保険の効かない自費の補綴物を勧められたことはないでしょうか?
材質は高額なものほど良いため、ある意味間違いではありませんが、材質の違いで長持ちするほど歯科医療は単純ではありません。
「自費の補綴物は保険の何倍も高額だから何倍も長持ちする。」「高額だから一生大丈夫」と思われている方は間違った教えを受けているかもしれませんので、ここで私の考えをお伝えしたいと思います。
材質だけで長持ちするわけではありません
材質を選択する前にきそ基本治療がしっかりなされているかに目を向けるべきです
表面上の材質だけが優れていても、中身がしっかりしていなければ決して長持ちはしません。
では中身とは何でしょう?
中身とは基本治療のことです。歯磨き指導、むし歯治療・歯周病治療・根管治療、噛み合わせの調和、など基本となる処置がどれだけ適切に行われているかが大切なのです。
基本治療が適当であったり、杜撰な状態ではいくら材質の優れた補綴物を装着したとしても見栄えだけが良いものに過ぎません。
基本治療がしっかりしていて始めて歯の寿命を延ばし、歯に被せる補綴物が生きるのです。
補綴物の精度は大丈夫でしょうか?
材質が優れたものでも削った歯にピッタリ合っていなかったり(不適合)、歯磨きができない形態だったり、噛んだ時に支障をきたすような咬合では、全く材質の意味を成しません。
材質が良いだけで判断するのではなく、どれだけの精度で補綴物が歯に装着されているかがとても重要なことで、治療した歯の寿命にもっとも大きく影響します。
精度に優れた補綴物は材質よりも重視しなければならないのは、天然歯は継ぎ目がありません。しかし人工物で補う以上少なからず継ぎ目は存在します。そのため極力隙間や段差のないような適合で治療が完了していなければ、治療した歯の寿命を延ばすことも難しいと言ってもよいでしょう。
精度が悪ければどうなるでしょう。それは材質が優れているだけの異物になってしまいます。
保険診療と自由診療の違いは中身の違いなのです
口腔内の状態・病状はそれぞれ異なりますから、もちろん原因も異なります。そのため個々に合わせた基本治療と精密な治療が相まって快適な環境に回復させることができます。そのため、材質を変えただけの治療では本来の自由診療とはとても言えず、保険診療の延長上でただ自費の素材を使用しただけになります。厳しい意見ですが、このように中身のない見た目だけのなんちゃって自費治療が実際にはとても多いのです。
銀歯を白い素材や金歯に変える治療が自由診療と勘違いしている何とも情けない歯科医もいますが、本来の自由診療は、中身のないその場しのぎの治療ではなく、将来を見据えて口腔内の健康をどのようにしたら良いか、予防法・治療法・補綴物の種類などを詳細に計画し、個々に合わせた精密で適切な治療をじっくり時間を掛けて行ない、健康な口腔内に回復させる診療ではないでしょうか。
そのため基本治療がしっかりなされて始めて長持ちするものが提供できます。
保険診療と自由診療の本当の違いは材質だけではなく、治療にかける時間や治療法、精度など「治療内容の質」なのです。
|
←前のページ 患者さんからの声/その他
→次のページ 噛める 快適な 入れ歯(義歯)