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むし歯・歯周病/歯周病

歯周病とは

「歯肉炎」と「歯周炎」

「歯槽膿漏」 よく耳にする言葉ですが、今は「歯周病」と表現します。

歯周病は「歯肉炎」と「歯周炎」の総称で、いずれも細菌により発症します。
個々によりさまざまな症状を引き起こし、経過もさまざまです。
むし歯にならび歯科疾患の中では2大疾患の一つで、歯肉の代表的な疾患です。

歯肉炎

歯に付着した歯垢(プラーク)が出す毒素で、歯と歯肉の境目から感染することで発症し、はじめは歯肉に限局して炎症が起こります。これが歯肉炎です。個々により程度・症状に違いはありますが、歯肉が赤くなり、腫れたり、ぶよぶよと軟らかくなります。 

歯磨きすると出血もしやすくなります。この時期はまだ軽度の状態ですから、正しい歯磨き方法を覚え食習慣の見直しを心掛ければ治癒も早いでしょう。

症例 1 / 29歳 男性

症例1/29歳 写真1

症例1/29歳 男性 写真 1

症例1/29歳 写真2

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症例1/29歳 写真3

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  • 歯と歯肉の境界部にプラークが帯状に付着し、歯肉がブヨブヨしています。
  • 赤染め液で染め出ししてみると、プラークが停滞している部位が赤く染まりました。

症例 2 / 28歳 男性

症例 2/28歳 男性 写真1

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症例 2/28歳 男性 写真2

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症例 2/28歳 男性 写真3

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  • プラーク(赤く染まっている部位)の付着部位の歯肉が炎症を起こしています。

症例 3 / 16歳 男性

症例 3/16歳 男性 写真1

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症例 3/16歳 男性 写真2

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症例 3/16歳 男性 写真3

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  • 歯に輝きがなく、歯と歯の間の歯肉に強い赤みがあります。

歯周炎

その後歯肉炎の感染が進むと、歯の根を支えている周りの組織が破壊されます。歯周組織にまで炎症が進んだ状態を歯周炎といいます。さらに進行すると、歯の根を支えている骨が溶け、歯肉が腫れたり、歯と歯肉の境目から膿が出たりします。最終的に歯がグラグラし始め、噛めなくなり、場合によっては自然に抜けてしまうこともあります。

歯肉炎より進行した状態ですから、治療も困難になることが多く、状態によっては、進行を食い止めることも難しくなります。

症例 1 / 65歳 女性

症例 1/65歳 女性 写真1

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症例 1/65歳 女性 写真2

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症例 1/65歳 女性 写真3

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症例 1/65歳 女性 写真4

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症例 1/65歳 女性 写真5

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  • 歯と歯肉の境界部にプラークが帯状に付着し、歯肉がブヨブヨしています。

症例 1/65歳 女性 写真6

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症例 1/65歳 女性 写真7

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症例 1/65歳 女性 写真8

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症例 1/65歳 女性 写真9

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症例 1/65歳 女性 写真10

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症例 1/65歳 女性 写真11

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症例 1/65歳 女性 写真12

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症例 1/65歳 女性 写真13

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症例 1/65歳 女性 写真14

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症例 1/65歳 女性 写真15

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  • 「歯周病が進行し、歯が動きはじめて心配」と来院されました。
  • 全顎にわたり歯肉に炎症があり、骨も溶けています。

症例 2 / 54歳 男性

症例 2/54歳 男性 写真1

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症例 2/54歳 男性 写真2

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  • 「歯肉から膿が出るため心配」と来院されました。
  • 歯を支えている骨が広範囲に溶けています。

症例 3 / 65歳 女性

症例 3/65歳 女性 写真1

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症例 3/65歳 女性 写真2

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症例 3/65歳 女性 写真3

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症例 3/65歳 女性 写真4

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  • 「最近、下の前歯の歯茎が腫れて痛い」と来院されました。
  • 歯肉が赤く腫れ、炎症が全体に認められます。歯と歯肉の境には、歯石とプラークが付着しているのがわかります。

症例 4 / 64歳 女性

症例 4/64歳 女性 写真1

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症例 4/64歳 女性 写真2

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症例 4/64歳 女性 写真3

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  • 「前歯が腫れて指で押すと違和感がある。」と来院されました。
  • 口腔内を診査すると、歯肉の一部に赤みがあります。レントゲン診査では歯の左側の骨が完全に溶けています。

症例 5 / 63歳 女性

症例 5/63歳 女性 写真1

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症例 5/63歳 女性 写真2

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症例 5/63歳 女性 写真3

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  • 「歯肉の腫れと痛みを数回繰り返していましたが、数日すると治っていたので放置していました。しかし今回は以前と腫れ方と痛みが強いので、診てください。」と来院されました。
  • 口腔内を診査すると、広範囲に腫れが認められ、腫れた部分を押さえると歯と歯肉の間から血膿が出てくる状態でした。
  • レントゲン診査では根の先端4分の1程度が骨に植わっている状態で、周囲の骨は溶けています。

厄介な歯周病

歯周病は初期での発見はなかなか困難で、歯周病に詳しい歯科医でないと発見できないこともあります。進行は複雑で慢性的に進行することがほとんどで、知らぬ間に進行してしまうことが多いため、歯周病に気付かない場合が多いのです。そのためこんなことを繰り返す方もいます。歯周病が、慢性化している状態で急性炎症を起し歯肉が腫れた場合など、何日か経つと症状が治まってしまうことがあります。症状がなくなったため一見治ったと錯覚してしまいますが、治っているわけではありません。極限に化膿した状態が少し治まっただけで、再び症状が悪化する可能性が絶えず存在しているのです。

カゼを引いたり、疲れが溜まると歯肉が腫れたり、歯肉がぶよぶよした場合は気をつけなければなりません。カゼを引いたりすると、細菌から体を守ろうとする抵抗力が落ち、細菌が繁殖しやすくなります。その結果、歯肉・骨の内部の炎症が悪化し症状があらわれます。カゼを引いたり、疲れから歯肉が腫れるようであれば、慢性的な歯周病の可能性がおおいにあります。また、歯周病は全身に及ぼす影響も大きく、心臓疾患・呼吸器疾患・動脈硬化・糖尿病・低体重時出産などの多くの疾患と関わりがあることが分かっています。

このように歯周病はとても厄介な疾患ですが、非常に身近な疾患でもあるのです。

歯周病には個人差がある

歯周病は複合的な要因で発症し、主要な原因は歯垢(プラーク)です。(その他歯垢とは無縁で発症するものもあります。)

主要な原因が歯垢で発症するので、歯垢の量に比例して進行すると思われますが、歯周病にはかなりの個人差があります。
歯垢が多量に歯に付着しているのにも関わらず発症しにくい人もいれば、わずかな歯垢が残っているだけでも発症しやすい人もいます。これは、細菌の種類にもよりますが、歯周病という病気が歯垢の種類・量と身体の抵抗力とのバランスに関係しているからです。

歯をほとんど磨かない人、ササッと適当に磨いていても、何も歯には悩まされない人がいる反面、常に歯に気を配らなければならない人もいます。歯周病になりやすい人もいれば、なりにくい人もいます。

抵抗力のある人はなかなか発症しませんが、油断は禁物です。抵抗力が低下した時に急速に進行する可能性があります。そのためにも現時点で自分は関係ないと思わず、口の中の環境を整えておくことをお勧めします。

歯周病の治療

歯周病の治療は、患者さんの協力がなければ決して成り立ちません。

歯周病は特殊な場合を除いて、日常の生活習慣との関わりが深い疾患です。そのため、歯周病と向き合うには、先ず患者さんの治癒能力を引き出せるように環境作りの見直しからスタートします。そのためには患者さんの生活習慣に目を向け、見直しと同時にできるだけ生活習慣の中から改善策を探します。そして治癒能力を引き出すための知識と技術を提供し、実践できるようサポートします。その後、口の中の改善具合で状況に合わせた処置・治療のお手伝いをします。

「食」との関連

歯周病の予防法は、歯磨きだけでは進行を止められなくなってきています。「食」にも目を向けなければいけません。「食」の見直し無くして、歯周病の改善は難しいと思っています。なぜなら今は飽食の時代で、周りを見渡せば、美味しい甘い食べ物・飲み物が氾濫し、常に手に届く所にあるからです。

細菌の餌となる糖類が氾濫しているため、食に目を向けた予防があってはじめて歯磨き予防が意味をなすのではないでしょうか。もちろん歯磨き予防だけで改善できる方もいますが、食との関わりを見直さなければならない方のほうが多いように思います。食べ物・飲み物は歯の健康に深く関係していますが、それ以前に身体をつくり、病気を治す源の血液にもとても深く関わっていることを忘れないでいただきたいと思います。

ここで話が少し脱線しますが、血液の話題を一つ紹介したいと思います。最近よく「血液サラサラ」の話題を耳にしますが、血液サラサラというとすぐにサラサラになる食べ物・飲み物・サプリメントが紹介されますが、その前に見つめ直すことがあると思います。それは、血液をドロドロにしている原因です。このドロドロになる原因を知らずして、いくらサラサラになるものを口にしても、あまり効果は期待できないのでは…と思っているのです。ドロドロの原因を改善してこそサラサラ効果の期待ができるのではないのでしょうか。ドロドロになる原因のひとつに実は「砂糖」も含まれているのです。もちろん摂り過ぎの場合ですが、知らなかった方も多いのではないでしょうか。

歯周病は歯肉から発症し、骨にまで影響を及ぼす疾患です。細菌の餌となる食べ物・飲み物を見直すことも大切ですが、歯肉・骨の改善、健康を手助けしてくれるのは体の中を駆け巡る血液なのです。

コラム

血液中の白血球は、病気に対して抵抗する能力を持っています。
白血球は、体内に侵入してきた細菌やウイルスを発見し、食べてくれるのです。
身体を守る重要な働きをしている白血球ですが、砂糖の摂り過ぎは、白血球の細菌を食べる能力を弱めてしまいます。

原因療法(根本治療)

本当の「健康回復・健康維持」を考えるならば、“むし歯” “歯周病”になる原因に目を向け、一緒に考えながら、予防・治療を進めることをお勧めします。

むし歯・歯周病の大半は生活習慣由来が原因です。その生活習慣を見直しながら患者さんが自ら治す習慣を身に付け、再発防止に努めたいものです。原因と言っても実際には複雑に絡み合っていることが多く、原因が多ければ多いほど、むし歯・歯周病に罹患する確率は高くなります。また、むし歯・歯周病の原因を把握せず治療を終えてしまえば、再発する傾向は高くなります。この原因を解明することが再発防止につながるのではないでしょうか。

まずは原因を一緒に探し、「自ら治す」環境作り に目を向けたいものです。

「むし歯菌・歯周病菌の住みにくい環境をつくる」

第1に食生活の見直しです。現在何でも手軽に食べられる飽食の時代ですからつい忘れがちになりますが、最も大切なことです。

むし歯菌もさることながら、歯周病菌も甘い砂糖類によって増殖します。そのため細菌のエサとなる食べ物・飲み物をコントロールすることが鍵となります。また、食べ物も大切ですが、食べ方も考えなければなりません。甘味が少なくても四六時中 口の中に入っているようであれば、環境は改善されません。

食べ物・飲み物の中には意外と糖分が多く含まれています。
食べてはいけないのではありません。考えて食べることが大切なのです。

第2に歯磨きです。歯磨きで大切なことは「磨いている」と「磨けている」の違いです。いつも一生懸命がんばって磨いていても、磨けていなければ効果がありません。歯垢を確実に、簡単に落とせる正しい歯磨きをマスターすることが大切です。徹底した歯磨き方法を習得して、良い環境を保ちたいものです。

歯磨きよりも食を重要視した理由は、歯磨きを一生懸命行なっていても、それ以上に細菌を増殖させる要素が多くては、本来の改善が望みにくいからです。まずは病原菌を増やさない環境作りに目を向けていただきたいのです。