マイクロスコープ/精密治療
マイクロスコープを活用した精密治療
支台歯形成
歯を削り形態を整える
歯の削り方具合でかぶせ物の出来栄えが大きく左右されるため、マイクロスコープを導入して細かな部分まで仕上げます。粗い粒子のDIAMOND INSTRUMENTSで大まかな形を整え、最終的な仕上げ形成には、できるだけ細かい粒子のDIAMOND INSTRUMENTSを使い低速で整えることを心掛けます。
- (支台歯形成の写真は一次圧排糸挿入済)
DIAMOND INSTRUMENTS
歯を削るときに使用する代表的な形成用 DIAMOND INSTRUMENTSのレギュラー ・ スーパーファインの表面性状です。表面の粒子の違いがおわかりいただけると思います。
抜去歯を利用して、
のレギュラーとスーパーファインで形成した面を拡大観察してみましょう。形成した抜去歯をシリコン印象材にて精密印象をし、超硬石膏で歯型を作製し表面を観察してみました。
DIAMOND INSTRUMENTSのレギュラーとスーパーファインで形成した歯とその表面を見ていただけたら一目瞭然です。スーパーファインで仕上げる理由は、精度の高いかぶせ物を作るために精密な型を採りたいからです。
最終的には、削った歯に精密に仕上げたかぶせ物が吸い込まれるようにぴったり収まることを求めています。一見歯の表面をツルツルに仕上げるとセメントで着けてもすぐに取れてしまうんではないかと思われがちですが、その逆でツルツルに仕上げることで削った面とかぶせ物がより密接になり、少量のセメントで最大限の接着効果を期待できます。そもそも物質同士を接着する場合、隙間がなければないほど接着力は高まります。
表面がザラザラした粗形成のままで型採りをすると、型採り自体の精度が低下し、もちろん作るかぶせ物の精度も低下します。そうなれば必然的に精度は低下します。
印象採得
正確な歯型
きれいに形成仕上げをした歯を周囲の歯と歯肉を含め、精密にシリコーン印象材で型を採ります。
正確な印象が正確な歯型となり、製作する補綴物の精度は向上します。
適合精度
セメント合着をした補綴物の内面・マージン部を観察
精密治療を行ないましたが残念ながら保存困難となり、抜歯した歯を切断し内面の適合とマージンの適合とセメントの関係を観察してみました。
症例 1 / メタルボンド
当時、中等度の歯周病で来院し治療を開始した患者さんです。3度の食事より甘味の食べ物を好んでいました。治療中はブラッシングを頑張り、大好きな甘いものを控えていました。しかし、治療が終了した安心感からか食生活がもとに戻り、久しぶりの健診時に歯周病の進行とともに骨が溶けていました。
- 6年前に連結冠の補綴を行ないましたが、歯周病の悪化により1歯、抜歯しました。
- 抜歯した歯(矢印 赤) 左側上顎第1小臼歯
- 適合状態 ・ セメントの厚みが写真だけではわかりにくいため、髪の毛を一緒に記録しました。
- 髪の毛と比較していただければ各部位のセメントの厚み、かぶせ物の精度がおわかりいただけると思います。
(使用セメント トクヤマ イオノタイト)
症例 2 / ハイブリット前装冠
たばこが関連した歯周病の患者さんです。喫煙歴が長く、ニコチンが原因で骨の吸収が進行し、舌で触れても抜けそうなくらいグラグラに動く状態でした。
- 内面のセメントは必要最小限で、髪の毛の太さと比較していただくと全体的に適合に優れた精度の高いかぶせ物であることがお分かりいただけると思います。
- マージンの適合(歯とかぶせ物の接合部 矢印 青)は拡大しても段差がありません。
セメント層は髪の毛の10分の1程度(5~10ミクロン程度)です。
(使用セメント 3M ビトレマー ルーティングセメント)
かぶせ物にもっとも大切な要素で、技術的にも難しい適合ですが、適合精度の良し悪しが歯および歯周組織に与える影響は大きく、歯の寿命にも大きく関係します。
そもそも天然の歯にはつなぎ目がありません。人工物のかぶせ物を歯に接着した場合、接着材を使って接着するため少なからず接着部はあります。
物質同士を接着するわけですから、天然歯のようにつなぎ目が全くない環境に仕上げることは物理的に無理に近いのですが、その接着部を可能な限りゼロに近い環境にすることで、天然の歯には負けますが、勝るとも劣ない質の高いかぶせ物が提供できると思っています。
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