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歯周病 Part 9「定期健診(メインテナンス)の重要性」について - vol.55 -

治療が終了すると誰もがホッとするでしょう。しかし、治療が終了したからといって安心は禁物です。治療によって改善された健康状態を維持することと、再発を防止することを目的に定期的な健診をお勧めします。

治療期間中は、口腔清掃状態をチェックされるため歯磨きをそれなりに頑張ることでしょう。しかし治療が終了するとサボり気味になるのが大半です。そして何時しか自己流の磨き方に戻ってしまうことも多いようです。

また歯ブラシはするけど、補助的清掃道具(歯間ブラシ・デンタルフロス・ワンタフト・インタースペースブラシ等)が必要なことがわかっていても、継続して使わなくなってしまうことが多いようです。そして多くの方は、手持ちの道具がなくなると使用しなくなってしまいがちです。  



どうしたら継続が可能になるのでしょうか? 
この問題は個々に異なりますから一言では片付けられませんが、一番必要なことはやはり習慣化することでしょう。食後の歯磨きはもちろん、何かを「食べたら磨く」と自分で習慣化し、生活の一部になれば継続も苦にならないでしょう。
それでも「歯磨きしないと…」と思うと重くなる方もいるようですから、少し考えを変えて「歯を可愛がってあげよう」「使ったらお手入れしよう」みたいな感覚で習慣化されると、少しは意識も変わるのではないでしょうか?

そして自分の口の中に関心を持つことも大切でしょう。そのためには医療者が全面協力して関心を持ちたくなるような知識や治療を提供することで意識が更に高まると思います。
とは言っても性格の問題が絡むとは少々厄介な面があります。もともと「めんどくさがり屋」「なんでも適当で中途半端」「ずほら」「忘れっぽい」「言い訳大好き」「人任せ」「自分に甘い」方は、自分を少しでも変える意志の強さや口の中の健康に目を向ける姿勢が増せば大きく変われるものですが、最初は頑張っていても、性格上…  だんだん気持ちが薄れて、いつしか元の習慣に落ち着いてしまう傾向があるだけに少々難儀です。
この部分は私達医療者が諦めないで向き合うことで少しずつでも前進できればと思います。


歯磨きを継続させる具体的な対策は? 
治療中からも言えることですが、なるべく歯を磨くときは自分の歯や歯肉を観察しながらブラッシングすると、思いもしない発見や口腔内に少なからず関心を持つようになるでしょうから、最初は手鏡を持つ習慣から歯磨きに励むとよいと思います。

それと洗面所で長い時間立ちながら歯磨きするのはなかなか実行できるものではなく、ましてや鏡が離れているので見えなかったり、明るさの加減で細かいところまで観察できないので、丁寧な歯磨きを行なう場所としては少し不向きのように感じます。そこでお勧めしたい方法は「ながら磨き」です。洗面所で行なう歯磨きはどうしても短時間になりやすいため、テレビを見ながら、新聞・雑誌を読みながら歯磨きをすることで、自然と歯磨きする時間が増えます。無理なく続ける方法の一つにこの「ながら磨き」からのスタートをお勧めします。


定期的な健診は誰のため? 
健診は、口腔内環境が健康で維持されているか? 歯の手入れはしっかり行き届いているか? など日頃の健康状態のチェックや再発はしていないか? など総合的に診察する健診は自分のためです。口腔内チェックや再発防止だけでなく、自分の意識を更に高めるきっかけにもなりますから、気持ちの上でも大切なことなのです。

健診の間隔は口腔内環境によるためそれぞれ異なりますから、各自担当医や担当衛生士と相談の上決めるとよいでしょう。


勘違いしやすい健診 
患者さんの中には定期的に健診さえ受けていれば大丈夫と思われている方がいらっしゃいます。これは少し困りものです。
健診の少し前から頑張って手入れをして、健診でホッとして、そしてしばらくサボり気味の日々、また健診が近づくと慌てて頑張って…  これでは自分の安心感を得るためだけの健診になってしまいます。

その場しのぎの口腔内の状態は、私達医療者が診ればおおよそ察しがつきますが、正直あまり感心しません。その場の安心を求めず、常に安心な口腔内環境を目標にするには、日頃の状態をチェックする心掛けでなければ、本来の健診と大きく目的が異なります。
健診の時だけ良い状態にしておくのではなく、健診以外の常日頃にしっかり目を向けて頂きたいと思います。