根管治療/根管治療症例
根管治療
症例 1 / 42歳 女性
「前歯を治したい」と来院されました。
治療前
- 根の治療が不充分のため、骨が溶けています。
治療後
- 根の治療・部分矯正を行ない連結冠で治療を完了しました。
10年後
- 経過良好です。
症例 2 / 51歳 女性
全体の治療を希望して来院されました。
治療前
- 前歯4歯は歯髄炎・不適切な根管治療・感染根管・不良補綴・不良充填・セメントの取り残しなど問題点が多い環境でした。
治療後
- 根管治療終了後、臼歯欠損を補う重要なブリッジ支台のため、最終的な補綴は連結固定しました。
10年後
- 経過良好です。
症例 3 / 57歳 女性
「噛むと違和感がある」と来院されました。
治療前
- 根の治療が不充分のため、感染を起こし骨が溶けています。
治療後
- 根の先端付近で根管が分岐していました。
- 根の治療が完了し骨も改善されました。
症例 4 / 49歳 女性
レントゲン撮影したときに骨が溶けているのを発見しました。
治療前
- 根の周囲の骨が広範囲で溶けて、根の先端が吸収し始めています。
8ヶ月後
- 洗浄・治療を2度行ない、骨の治癒傾向が確認できたため、最終的な薬を8ヶ月後に充填しました。
5年3ヶ月後
- 定期健診時、薬を充填した直後よりさらに骨が安定しているのがわかります。
症例 5 / 66歳 女性
全体の治療を希望して来院されました。
治療前
- 歯肉から常に膿が出ていたようです。(矢印 赤)レントゲンをみると、隣の歯に及ぶところまで骨が溶けています。
治療後
- 3回の薬交換で骨が完全に回復したため、根の中に薬を詰め、土台を装着した後、かぶせ物を装着しました。
症例 6 / 41歳 女性
「数年前に他医院で治した歯ですが、最近違和感がある」と来院されました。
治療前
- レントゲン診査で根の先の骨が溶けているのが確認できました。
8ヶ月後
- 再根管治療を始めて8ヶ月後、骨の再生が確認できました。
9ヶ月後
- 最終的な薬を詰め、根の治療は完了しました。
7年後
- さらに根の周囲の骨が緻密化し、安定しています。(補綴は義兄の歯科技工士が製作)
難治性感染根管治療
症例 1 / 41歳 女性
根尖病巣 + 根尖吸収 + セメント質肥大と問題の多い歯でしたが、患者さんの希望で保存治療を試みました。
治療開始時
- 根管に詰められていた薬を除去すると、根の先から大量の出血がありました。
1年8ヶ月後
- 水酸化カルシウム製剤を定期的に数度交換しました。
- 骨が劇的に回復しました。
- マイクロスコープで根尖内部を観察すると、治療開始時には根尖孔が大きく拡大されていたのに対し、セメント質様石灰化物で根尖が塞がれていました。(矢印 赤)
根管治療完了
- 根管が太く拡大されていたためプロルートMTAにて根管充填を行ないました。
セメント質様石灰化物(矢印 赤) プロルートMTA (矢印 青)
症例 2 / 49歳 女性
36年前に前歯を折ってから、何度か治療を繰り返しましたが違和感があり気になります。
もう少しなんとかなるなら治療をしたいとのことで治療を始めました。
治療開始時
- 根管と根管孔から溢れ出た薬を除去すると、不良肉芽と出血を認めました。
- 根管に太い治療用器具(Kファイル #100)がいとも簡単に入ってしまうほど太い根管でした。
- 不良肉芽の除去と洗浄を行ない水酸化カルシウム製剤を根尖外まで薬で満たしました。
1ヶ月後
- 根の外に押し出した薬が吸収されてきました。
2ヶ月後
- レントゲン写真上では根の先の骨が安定してきました。
- 根尖孔付近の出血は治まりましたが、以前大きな根尖孔部が口を開いています。
- この時点で違和感はほとんど気にならなくなりました。
5ヶ月後
- マイクロスコープで根尖内部を観察すると、治療開始時には根尖孔が大きく拡大されていたのに対し、セメント質様石灰化物で根尖が塞がれました。(矢印 赤)
- 治療を開始して5ヶ月ほどでよい環境に回復しましたが、長期に渡り環境が悪かったため、経過観察をします。
5年後
- 経過観察中にセメント質剥離による外科処置が必要になったため長期観察をし、その後支台築造及び最終補綴物を装着しました。
- 根尖周囲には明瞭な歯槽硬線が確認できるため、完全に治癒していると思われます。
症例 3 / 46歳 男性
「力を入れて噛むことができない」と来院されました。
治療前
- レントゲン診査すると、根の先の骨が隣の根を巻き込んで溶けています。(両歯にまたぐ病巣)
- 本来治療すべき根管から反れた場所に穴が開けられ(矢印 赤)、薬も密に詰められた形跡がないことから感染を起こし、骨が溶け始めたことにより症状が現れたようです。
治療開始
- 感染が複雑なため、造影性のある薬を使ってレントゲン診査すると広範囲に骨が溶けていました。(両歯にまたぐ骨欠損)
5ヶ月後
- できるだけ組織に刺激を加えないように洗浄・薬の入れ替えを数度繰り返しました。この時点で以前 骨の溶けていた場所に薬が到達していたにも関わらず、まったく入らなくなり、症状もなくなりました。
5年後
- 金属の仮歯を装着し、経過を観察していました。
- レントゲン診査すると、骨は回復し、原因歯の根の周りを補うように添加物が確認できます。(矢印 赤)
- おそらく感染から体を守る防御反応が働き、セメント質の添加が起きたのではないでしょうか。素晴しい治癒能力です。
根分岐部病変
症例 1 / 42歳 男性 (歯科技工士)
「歯がしみる」と来院されました。
治療前
- 以前大きなむし歯があり、神経をとる寸前と言われたにも関わらず、1週間後にかぶせ物を装着されたそうです。その後冷温痛が続いていましたが、最近内側の歯肉が腫れて痛く、ついには金属のかぶせ物がとれ、歯が動いてきたため心配になったようです。
4ヶ月後
- 水酸化カルシウム製剤を貼薬して4ヶ月 根の周りの骨が少し落ち着いたようです。
- 手前の歯には咬合治療用の金属冠を仮着。
9ヶ月後
- 骨がさらに安定し気になる症状がなくなったため、根管充填しました。
(患歯の動揺が治まったため親知らずは5ヶ月後に抜歯済み)
11ヶ月後
- 根の間の骨(分岐部)がより安定したため、プラスチック製の仮歯を装着しました。(仮歯がプラスチック製のためレントゲン写真には写っていません。)
1年半後
- 骨がさらに安定してきました。
- プラスチック製の仮歯で経過良好だったため、金属製の仮歯を仮着しました。(金属製の仮歯の周囲に3ヵ所 出っ張りがありますが、これは仮着した後、冠を外す時に引っかけるためのノブです。)
8年後
- 何事もなく8年が経過しました。現在も経過観察中です。
再発症例
症例 1 / 45歳 女性
感染根管治療を行ない一度骨が回復したように思われましたが、再び骨吸収再発し再度治療を試みた症例
治療前
- 根の先端が感染し、骨が溶けています。
治療開始
- 詰まっていた薬を除去し、根の長さを測定。
3ヶ月後
- 水酸化カルシウム製剤を貼薬して3ヶ月、根の先端の影が小さくなっています。
5ヶ月後
- 影がさらに小さくなっています。
10ヶ月後
- 影がさらに小さくなっています。
11ヶ月後
- 最終的な薬を充填
1年4ヶ月後
- 薬を詰めて5ヶ月後に再び骨吸収を確認しました。根の先端周囲に何か別の原因があるのかもしれません。
1年8ヶ月後
- 経過を見ていましたが、変化がないため再治療を行ないました。
- 炎症を抑える薬を骨の溶けている部位にまで入れました。
2年後
- 影が少し小さくなりました。
2年2ヶ月後
- 影がさらに小さくなっています。
- 薬の交換をしてみると根の先端内部にセメント質様石灰化物による閉鎖が確認できました。
(点線矢印 赤)レントゲン写真上にも石灰化様の像が確認できます。(矢印 赤)
2年8ヶ月後
- 影がさらに小さくなっています。
- 歯槽硬線がはっきり確認できます。
2年9ヶ月後
- 根の先端が、生体の防御反応と思われる石灰化で理想的に塞ぐことができました。(矢印 赤)
- 今回はより緊密に根尖部を塞ぐ目的でプロルートMTAを用いて根の治療を完了しました。(矢印 青)
不適切な根管治療
リーマー・ファイルの破折
- 根の治療で使う器具が根の中で折れ、取り残されています。
- 根の治療で使う器具が折れ、骨にまで達しています。
根の治療で使う器具(リーマー・ファイル)が根の中、骨に及ぶところまで突き出た状態で折れています。このような歯は比較的多く目にしますが、本来器具を折らないで治療しなければなりません。
狭い根管に無理やり器具を押し込んだり、無理な力で治療を行なえば、器具の破損につながります。
折れた部位・程度にもよりますが、比較的容易に除去できる浅い部位で折れたのは稀で、大半は根の奥で折れていたり、根の曲がった部位で折れていたりで、そのまま経過観察しなければならない場合が多いのです。
最初から慎重に根の治療を行なえば、このような事故は未然に防ぐことはできます。根の治療は繊細かつ慎重に、そして確実性が要求されます。
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