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CADCAMシステム - vol.63 -

歯を削った個所を機械で読み込み、機械で材料を削りだし、その場で歯を作ってしまう治療が注目されています。(CAD/CAMシステム)

患者さんからすればとても短時間で補綴物が入って治療が完了すればうれしいことでしょうが、重要なことはどの程度の治療レベルで提供されているかではないでしょうか。


歯を削る治療は人が行います。そして削った個所を人が機械に読み込ませ、機械が歯の材料を削りだし、人工の歯を作ります。素晴らしいシステムのように思えますが、機械で行うといっても、人が入力したデータに基づき材料を削る作業が機械で行うだけですから、削り方・削った個所を計測する人によって出来上がる歯の精度が著しく変わってしまいます。ましてやかなりの熟練者が行ったとしてもまだまだ改良の余地が大いにあることを小耳にはさんでいますので、「まあまあ」「そこそこ」「ほどほど」のレベルを求めている方には満足されるでしょうが、高精度を求めた治療を提供したいと思ったら正直御飯事レベルです。


患者さんに早く短時間に提供できればもちろん喜ばしいことですが、現在のところまだまだ今の機械のレベルでは、患者さん向けのパフォーマンス効果はあるかもしれませんが、実際に装着するために使用できるレベルには私の観点ではほど遠いように思います。


やはりまだまだ手間は掛かりますが、手作業の方がより高精度に優れたものが作れますし、究極の高精度を求めた場合おそらく人間の手作業よりも優れた機械の開発はまだまだ遠い未来でないと実現しないでしょう。
そして歯は人それぞれに個性があります。機械で賄えるほど単純なものではありません。歯科技工士さんが手間暇かけて補綴物に命を吹き込んでこそ、高精度の補綴物が提供できます。


「何を求めるか?」で大きく考えや手法も異なりますから、あくまでも一つの手法と考え、医療者側と患者さん側の選択にゆだねることになるでしょう。