歯周病 Part 8「歯周病の治療法」について - vol.54 -
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歯周病の治療法
歯周病の治療は、発症した原因によって対策が変わります。
原因が様々なため治療法も様々ですが、ここでは主な治療法を紹介します。
原因追究と排除
歯周病を食い止め進行を抑えるには、徹底的な原因排除と徹底的な予防法の習慣付けからスタートします。歯周病になってしまう原因は様々で、細菌性が原因の場合・予防法が問題の場合・食生活に問題がある場合・噛み合わせが関与する場合・歯科治療が発端で進行した場合・全身病から悪化する場合など原因も様々で、多くは生活習慣から発症し、原因が重複し悪化することが多いようです。歯周病治療は悪化させている原因を明確にし、排除することが第1歩です。
初期治療
初期治療は、歯周病の原因を取り除き、可能な限り清潔な口腔内環境に整えることです。
プラークコントロール(ブラッシング指導)
治療に入る前の準備運動として徹底的に予防法を見直します。予防法は主に歯磨きが中心ですが、一口に歯
磨きと言っても口の中の状態によっても指導方法は様々です。個々に合わせた歯磨き方法、そして口腔内環
境の変化に合わせた予防法を身に付け、習慣化することで身体に備わっている治癒力を最大限に引き出し、
細胞・組織を活性化させたうえで処置を行えれば、術後の痛みもほとんど感じず、処置後の治癒も早く、そ
して再発防止に役立ちます。
反対に歯磨き習慣が身に付いていない場合は、口腔内環境が整っていない状態で処置を行うことになるため
適切な処置が最初から行なえず、処置後の治癒に大きな差が生じます。そして、一時的には進行が抑えられ
たように思えた症状も時間の経過とともに再発する傾向が強くなります。
生活習慣の見直し
食生活の確認・見直し、嗜好品の摂取のお話を聞きながら歯周病の原因となる要素を検討します。
歯周病が生活習慣病と言われるのは、生活の中に何かしらの原因があり、その習慣を見直し、改善しなけれ
ば根本から向き合うことができません。よって悪習慣を気づかないで、知らないで続けてたり、自分が良か
れと思って続けている習慣が歯や歯周組織に悪い影響を与え、歯周病を進行させているかもしれませんので
生活習慣全体を見返すこともとても大切な治療です。
スケーリング・ルートプレーニング
スケーリングは歯や歯根の表面に付着した歯石を除去することです。
専用器具や超音波機器を用いて歯石を除去することで細菌の付着を減らし、さらに歯磨きしやすい衛生的な
環境に整えることで、歯肉がさらに引き締まり良い環境になります。
ルートプレーニングはスケーリングだけでは補えない、歯周ポケット内に入り込んだ歯肉縁下歯石・歯根面
の感染物質を除去し、歯面を滑沢に仕上げる処置です。
ほとんどの場合、奥深くに入り込んだ部位に処置を行なうため、局所麻酔が必要になります。
保存治療
必要なむし歯治療や根管治療等を行い、病的因子を徹底的に排除することで清潔で適した環境に回復させて
いきます。
外科処置
処置を行ったとしても助けられない歯やその歯があることで周囲の歯に悪影響を起こす歯は抜歯を勧めま
す。
治療可能な歯と治療不可能な歯の線引きをしっかりとすることが重要です。
また奥歯に関して複数の歯根の一部に問題がある場合は、状態によっては一部の根の除去だけで済みます。
噛み合わせ治療
噛み合わせにより歯周病を悪化させている場合は、噛み合わせの安定を図ります。
テンポラリー・仮義歯等
噛み合わせの回復・欠損部分修復が必要な場合、目的に合わせて一時的に簡易的な仮歯や仮義歯で補いま
す。
初期治療の再評価
初期治療終了後に歯周病がどの程度改善されたかを評価します。
再評価の結果で歯周病が改善された部位・改善不十分な部位を説明し、今後の治療の進め方を話し合いま
す。
再評価で歯周病の改善が見られた場合はメンテナンスに移ります。
もう一歩踏み込んだ治療(初期治療の見直し・歯周外科治療・再生療法)
再評価で改善が不十分な場合や改善がみられない部位は、ブラッシング指導・生活習慣を再確認します。
初期治療中にも確認をしながら進めますが、治療初めは気張って行っていた歯磨きが何時しか普段通りのやり方に戻ってしまったり、間違った解釈をしていないか?
気を付けていた食生活習慣も時間とともに乱れたりしていないか?と詳細を見直します。
またスケーリング・ルートプレーニング、保存治療、噛み合わせ治療等を行っても歯周病の回復が望めそうにない部位は、局所的に歯周外科治療(歯肉を含めた周囲の小手術)を行なう場合や再生療法を提案する場合もあります。
再評価
初期治療の見直し・歯周外科治療によって歯周病がどの程度改善されたかを評価します。
適切な処置と患者さんの努力が実れば、歯周病の改善は目覚ましい結果になるでしょう。
再評価で歯周病の改善が見られた場合はメンテナンスに移ります。
必要性がある場合の治療(矯正治療・補綴治療)
歯周病の改善がみられ必要性がある場合に患者さんと相談の上、矯正治療・補綴治療
を行うことがあります。
矯正治療
歯並びが元で歯周病が悪化している場合や歯周病の進行とともに歯並びが乱れている場合、そして口腔内環
境をより一層整える必要がある場合には、歯の全体・部分矯正を行う場合があります。
(矯正治療を必要とした場合、治療時期は個々により様々です。)
補綴治療
補綴によって歯周病が悪化している場合、動いている歯(動揺歯)の固定、欠損部の改善、噛み合わせの回
復などがあれば必要に応じた補綴処置を行います。
メンテナンス(定期健診)
歯周病は再発しやすい疾患です。
個々の口腔内環境に合わせて定期的な健診を行います。定期的な歯磨き確認・噛み合わせの状態・レントゲン
診査等を行うことで、少しでもより良い環境を保てることが理想ですから、メンテナンスはとても大切な治療
です。
治療法を簡単に説明しましたが、これらの治療法を症状に合わせ、組み合わせることで歯周病の改善・進行を
抑えます。
歯周病の治療は、発症した原因によって対策が変わります。
原因が様々なため治療法も様々ですが、ここでは主な治療法を紹介します。
原因追究と排除
歯周病を食い止め進行を抑えるには、徹底的な原因排除と徹底的な予防法の習慣付けからスタートします。歯周病になってしまう原因は様々で、細菌性が原因の場合・予防法が問題の場合・食生活に問題がある場合・噛み合わせが関与する場合・歯科治療が発端で進行した場合・全身病から悪化する場合など原因も様々で、多くは生活習慣から発症し、原因が重複し悪化することが多いようです。歯周病治療は悪化させている原因を明確にし、排除することが第1歩です。
初期治療
初期治療は、歯周病の原因を取り除き、可能な限り清潔な口腔内環境に整えることです。
プラークコントロール(ブラッシング指導)
治療に入る前の準備運動として徹底的に予防法を見直します。予防法は主に歯磨きが中心ですが、一口に歯
磨きと言っても口の中の状態によっても指導方法は様々です。個々に合わせた歯磨き方法、そして口腔内環
境の変化に合わせた予防法を身に付け、習慣化することで身体に備わっている治癒力を最大限に引き出し、
細胞・組織を活性化させたうえで処置を行えれば、術後の痛みもほとんど感じず、処置後の治癒も早く、そ
して再発防止に役立ちます。
反対に歯磨き習慣が身に付いていない場合は、口腔内環境が整っていない状態で処置を行うことになるため
適切な処置が最初から行なえず、処置後の治癒に大きな差が生じます。そして、一時的には進行が抑えられ
たように思えた症状も時間の経過とともに再発する傾向が強くなります。
生活習慣の見直し
食生活の確認・見直し、嗜好品の摂取のお話を聞きながら歯周病の原因となる要素を検討します。
歯周病が生活習慣病と言われるのは、生活の中に何かしらの原因があり、その習慣を見直し、改善しなけれ
ば根本から向き合うことができません。よって悪習慣を気づかないで、知らないで続けてたり、自分が良か
れと思って続けている習慣が歯や歯周組織に悪い影響を与え、歯周病を進行させているかもしれませんので
生活習慣全体を見返すこともとても大切な治療です。
スケーリング・ルートプレーニング
スケーリングは歯や歯根の表面に付着した歯石を除去することです。
専用器具や超音波機器を用いて歯石を除去することで細菌の付着を減らし、さらに歯磨きしやすい衛生的な
環境に整えることで、歯肉がさらに引き締まり良い環境になります。
ルートプレーニングはスケーリングだけでは補えない、歯周ポケット内に入り込んだ歯肉縁下歯石・歯根面
の感染物質を除去し、歯面を滑沢に仕上げる処置です。
ほとんどの場合、奥深くに入り込んだ部位に処置を行なうため、局所麻酔が必要になります。
保存治療
必要なむし歯治療や根管治療等を行い、病的因子を徹底的に排除することで清潔で適した環境に回復させて
いきます。
外科処置
処置を行ったとしても助けられない歯やその歯があることで周囲の歯に悪影響を起こす歯は抜歯を勧めま
す。
治療可能な歯と治療不可能な歯の線引きをしっかりとすることが重要です。
また奥歯に関して複数の歯根の一部に問題がある場合は、状態によっては一部の根の除去だけで済みます。
噛み合わせ治療
噛み合わせにより歯周病を悪化させている場合は、噛み合わせの安定を図ります。
テンポラリー・仮義歯等
噛み合わせの回復・欠損部分修復が必要な場合、目的に合わせて一時的に簡易的な仮歯や仮義歯で補いま
す。
初期治療の再評価
初期治療終了後に歯周病がどの程度改善されたかを評価します。
再評価の結果で歯周病が改善された部位・改善不十分な部位を説明し、今後の治療の進め方を話し合いま
す。
再評価で歯周病の改善が見られた場合はメンテナンスに移ります。
もう一歩踏み込んだ治療(初期治療の見直し・歯周外科治療・再生療法)
再評価で改善が不十分な場合や改善がみられない部位は、ブラッシング指導・生活習慣を再確認します。
初期治療中にも確認をしながら進めますが、治療初めは気張って行っていた歯磨きが何時しか普段通りのやり方に戻ってしまったり、間違った解釈をしていないか?
気を付けていた食生活習慣も時間とともに乱れたりしていないか?と詳細を見直します。
またスケーリング・ルートプレーニング、保存治療、噛み合わせ治療等を行っても歯周病の回復が望めそうにない部位は、局所的に歯周外科治療(歯肉を含めた周囲の小手術)を行なう場合や再生療法を提案する場合もあります。
再評価
初期治療の見直し・歯周外科治療によって歯周病がどの程度改善されたかを評価します。
適切な処置と患者さんの努力が実れば、歯周病の改善は目覚ましい結果になるでしょう。
再評価で歯周病の改善が見られた場合はメンテナンスに移ります。
必要性がある場合の治療(矯正治療・補綴治療)
歯周病の改善がみられ必要性がある場合に患者さんと相談の上、矯正治療・補綴治療
を行うことがあります。
矯正治療
歯並びが元で歯周病が悪化している場合や歯周病の進行とともに歯並びが乱れている場合、そして口腔内環
境をより一層整える必要がある場合には、歯の全体・部分矯正を行う場合があります。
(矯正治療を必要とした場合、治療時期は個々により様々です。)
補綴治療
補綴によって歯周病が悪化している場合、動いている歯(動揺歯)の固定、欠損部の改善、噛み合わせの回
復などがあれば必要に応じた補綴処置を行います。
メンテナンス(定期健診)
歯周病は再発しやすい疾患です。
個々の口腔内環境に合わせて定期的な健診を行います。定期的な歯磨き確認・噛み合わせの状態・レントゲン
診査等を行うことで、少しでもより良い環境を保てることが理想ですから、メンテナンスはとても大切な治療
です。
治療法を簡単に説明しましたが、これらの治療法を症状に合わせ、組み合わせることで歯周病の改善・進行を
抑えます。
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- vol.59 : 「インプラントブーム」について
- vol.58 : 保険診療と自由診療の違い
- vol.57 : ネット情報について
- vol.56 : 過剰な歯磨きについて
- vol.55 : 歯周病 Part 9「定期健診(メインテナンス)の重要性」について
- 歯周病 Part 8「歯周病の治療法」について - vol.54 -
- vol.53 : 歯周病 Part 7「歯周病の検査」について
- vol.52 : 歯周病 Part 6「歯周病は感染症であり、生活習慣病でもある」
- vol.51 : 歯周病 Part 5「バイオフィルム」について
- vol.50 : 歯周病 Part 4「歯周ポケット内を磨く」について
- vol.49 : 歯周病 Part 3 歯を磨くと出血するのは なぜ?
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