歯周病 Part 6「歯周病は感染症であり、生活習慣病でもある」 - vol.52 -
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生まれてきた赤ちゃんの口の中には、歯周病菌は存在しません。
歯周病菌が何かをきっかけに外部から口の中に侵入することで感染します。感染した全ての人が発症するわけではなく、歯周病菌が増殖しやすい環境になっていると発症する確率は高くなります。
外界から歯周病菌をまったく防ぐことはおそらく無理でしょう。感染を恐れるより、発症しないように口腔内環境を良い状態で整えることが大切です。
私たちは生活する上で細菌からの感染は免れません。そして完全に細菌を排除する必要もありません。細菌がいない口腔内は逆に健康的ではない状態になります。
口の中には数百種類の細菌が存在し、この中で特に歯周病に関与している原因菌といわれているのは、アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(A.A菌)、プロフィロモナス・ジンジバーリス(P.G菌)、プレボテーラ・インテルメディア(P.I菌)、スピロヘータなどがあります。これらの菌は酸素を嫌う性質があるため、主に歯周ポケットに住みつき、毒素や酵素を出すことで歯肉に炎症を引き起こし、歯周病を発症・進行させます。
皆さんの口の中にも存在する歯周病菌ですが、発症させないようにするには予防が大切です。予防と言ってもさまざまですが、まずは毎日の歯磨き習慣の定着と適切な歯磨きをしているかが大切です。歯磨きをやっているから大丈夫と思い込むような自己評価は少し危険です。やっている満足度よりしっかり適切に歯磨きができているかが大切な習慣になります。
もちろん歯磨きをしない習慣があれば歯周病になる確率が高くなるのはここであえて説明しなくてもお分かりいただけると思います。
また食生活も大切な要因です。暴飲暴食はもちろん、プラークが繁殖しやすい糖分が多い食べ物・飲み物を好む甘党派には、歯周病が発症する確率は非常に高くなります。
また間食はもちろん普段の食事内容にも目を向け、見直す必要性が多くあります。
このように歯周病は生活習慣病ですから高血圧・糖尿病・高コレステロール症・肥満症などといった病気の意味合いと同じになります。これらの病気もただ薬だけに頼っていては治ることはなく、生活を見直すことがもっとも大切な治療になるのです。
歯周病を悪化させてしまうたばこを吸う習慣
喫煙者の歯周病の進行は、吸わない人の3 ~数倍以上も早いと言われています。
たばこは呼吸器官である肺によくないことはおそらく誰もが知っていることですが、口の中にも驚くほど悪影響を与えることを知っている人は少ないでしょう。歯周病が発症しても喫煙をしている方は、どんなに的確な予防をしても、どんなにしっかりした治療を受けても、歯周病という病魔から逃れることは無理でしょう。それぐらいたばこが歯周病に悪いものなのです。
たばこが口の中に与える影響
たばこが口の中に与える悪影響はいろいろあります。
まずたばこのヤニ(タール)が歯に付着することで、歯周病の原因であるプラークや歯石が付着しやすくなります。そして歯肉にはメラニン色素が沈着して黒くなりやすくなり、健康な歯肉と比較すると、線維化したような、ハリが低下したような、いわゆる老化した歯肉のようになります。
もちろん個人差はありますが、喫煙者の歯肉年齢は非喫煙者の10~20年は進み、老化していると思って下さい。
具体的にたばこがどのような作用をしているのでしょうか。
・たばこのニコチンによって血管が収縮し、血流障害を起こします。血流障害を起こすと細胞に必要な
栄養や酸素が運ばれにくくなってしまいます。
・歯と歯肉の溝(歯周ポケット)の酸素が不足することで、酸素を嫌う歯周病菌の繁殖しやすい環境が
できてしまう。
・歯周病菌と戦う血液中の白血球の機能が著しく低下します。よって抵抗力・免疫力も低下します。
・歯肉を修復しようとする細胞(コラーゲン線維など)の働きが低下してしまう。
以上のようなことがたばこの成分によって起こっていますが、実際の医療現場で目にするのは、歯肉に炎症を起こしていても血管が収縮しているため、本来出血してもおかしくない状態でも出血が抑えられてしまい、病状が隠されてしまうことがあります。そして、たばこのニコチンが歯根の表面(セメント質)とよく結合するため、せっかく歯磨きや歯根周囲のお掃除(スケーリング・ルートプレーニング)をしても、本来の予防効果・治療効果が期待できません。
ブラッシングによる歯肉の回復も遅く、抜歯・手術などの外科処置後の回復も非喫煙者より遅いと思って下さい。
たばこをやめても歯周病が自然治癒するわけではありません。そして真面目に予防・治療に取り組んだとしてもすぐに回復するわけでもありません。長年の悪習慣からすぐに回復とはいかないものです。
しかし、歯周病の進行程度にもよりますが良い習慣と適切な治療で大幅な回復と進行を抑えることは可能です。
あなたは健康な口腔内環境を選びますか それともたばこを選びますか ???
歯周病菌が何かをきっかけに外部から口の中に侵入することで感染します。感染した全ての人が発症するわけではなく、歯周病菌が増殖しやすい環境になっていると発症する確率は高くなります。
外界から歯周病菌をまったく防ぐことはおそらく無理でしょう。感染を恐れるより、発症しないように口腔内環境を良い状態で整えることが大切です。
私たちは生活する上で細菌からの感染は免れません。そして完全に細菌を排除する必要もありません。細菌がいない口腔内は逆に健康的ではない状態になります。
口の中には数百種類の細菌が存在し、この中で特に歯周病に関与している原因菌といわれているのは、アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(A.A菌)、プロフィロモナス・ジンジバーリス(P.G菌)、プレボテーラ・インテルメディア(P.I菌)、スピロヘータなどがあります。これらの菌は酸素を嫌う性質があるため、主に歯周ポケットに住みつき、毒素や酵素を出すことで歯肉に炎症を引き起こし、歯周病を発症・進行させます。
皆さんの口の中にも存在する歯周病菌ですが、発症させないようにするには予防が大切です。予防と言ってもさまざまですが、まずは毎日の歯磨き習慣の定着と適切な歯磨きをしているかが大切です。歯磨きをやっているから大丈夫と思い込むような自己評価は少し危険です。やっている満足度よりしっかり適切に歯磨きができているかが大切な習慣になります。
もちろん歯磨きをしない習慣があれば歯周病になる確率が高くなるのはここであえて説明しなくてもお分かりいただけると思います。
また食生活も大切な要因です。暴飲暴食はもちろん、プラークが繁殖しやすい糖分が多い食べ物・飲み物を好む甘党派には、歯周病が発症する確率は非常に高くなります。
また間食はもちろん普段の食事内容にも目を向け、見直す必要性が多くあります。
このように歯周病は生活習慣病ですから高血圧・糖尿病・高コレステロール症・肥満症などといった病気の意味合いと同じになります。これらの病気もただ薬だけに頼っていては治ることはなく、生活を見直すことがもっとも大切な治療になるのです。
歯周病を悪化させてしまうたばこを吸う習慣
喫煙者の歯周病の進行は、吸わない人の3 ~数倍以上も早いと言われています。
たばこは呼吸器官である肺によくないことはおそらく誰もが知っていることですが、口の中にも驚くほど悪影響を与えることを知っている人は少ないでしょう。歯周病が発症しても喫煙をしている方は、どんなに的確な予防をしても、どんなにしっかりした治療を受けても、歯周病という病魔から逃れることは無理でしょう。それぐらいたばこが歯周病に悪いものなのです。
たばこが口の中に与える影響
たばこが口の中に与える悪影響はいろいろあります。
まずたばこのヤニ(タール)が歯に付着することで、歯周病の原因であるプラークや歯石が付着しやすくなります。そして歯肉にはメラニン色素が沈着して黒くなりやすくなり、健康な歯肉と比較すると、線維化したような、ハリが低下したような、いわゆる老化した歯肉のようになります。
もちろん個人差はありますが、喫煙者の歯肉年齢は非喫煙者の10~20年は進み、老化していると思って下さい。
具体的にたばこがどのような作用をしているのでしょうか。
・たばこのニコチンによって血管が収縮し、血流障害を起こします。血流障害を起こすと細胞に必要な
栄養や酸素が運ばれにくくなってしまいます。
・歯と歯肉の溝(歯周ポケット)の酸素が不足することで、酸素を嫌う歯周病菌の繁殖しやすい環境が
できてしまう。
・歯周病菌と戦う血液中の白血球の機能が著しく低下します。よって抵抗力・免疫力も低下します。
・歯肉を修復しようとする細胞(コラーゲン線維など)の働きが低下してしまう。
以上のようなことがたばこの成分によって起こっていますが、実際の医療現場で目にするのは、歯肉に炎症を起こしていても血管が収縮しているため、本来出血してもおかしくない状態でも出血が抑えられてしまい、病状が隠されてしまうことがあります。そして、たばこのニコチンが歯根の表面(セメント質)とよく結合するため、せっかく歯磨きや歯根周囲のお掃除(スケーリング・ルートプレーニング)をしても、本来の予防効果・治療効果が期待できません。
ブラッシングによる歯肉の回復も遅く、抜歯・手術などの外科処置後の回復も非喫煙者より遅いと思って下さい。
たばこをやめても歯周病が自然治癒するわけではありません。そして真面目に予防・治療に取り組んだとしてもすぐに回復するわけでもありません。長年の悪習慣からすぐに回復とはいかないものです。
しかし、歯周病の進行程度にもよりますが良い習慣と適切な治療で大幅な回復と進行を抑えることは可能です。
あなたは健康な口腔内環境を選びますか それともたばこを選びますか ???
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- vol.57 : ネット情報について
- vol.56 : 過剰な歯磨きについて
- vol.55 : 歯周病 Part 9「定期健診(メインテナンス)の重要性」について
- vol.54 : 歯周病 Part 8「歯周病の治療法」について
- vol.53 : 歯周病 Part 7「歯周病の検査」について
- 歯周病 Part 6「歯周病は感染症であり、生活習慣病でもある」 - vol.52 -
- vol.51 : 歯周病 Part 5「バイオフィルム」について
- vol.50 : 歯周病 Part 4「歯周ポケット内を磨く」について
- vol.49 : 歯周病 Part 3 歯を磨くと出血するのは なぜ?
- vol.48 : 歯周病 Part 2「歯周炎の分類について」
- vol.47 : 歯周病 Part 1「歯肉炎の分類について」
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