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生活習慣病 Part 3 和食は優れた食事 - vol.89 -

和食は優れた食事 
和食には塩分が多く、高血圧、脳卒中の原因になることもあります。
それなら和食をやめて洋食にするかという人も出てきそうですが、それは早計です。塩分さえ控えめにすれば和食はむしろ、世界に誇れる日本の優れた食習慣なのです。


欧米人で心臓病にかかる人が日本人に比べて2倍も多いのは、やはり食習慣の違いによると言われています。動物性脂肪、バター、砂糖の摂りすぎ、肥満などは動脈硬化を促進し、心筋梗塞や狭心症などの、いわゆる虚血性心臓病を引き起こしやすくなります。
そうした心臓病に悩まされる人が多いアメリカで注目されているのが、和食(日本食)です。大豆から作った豆腐などの植物性タンパク質が中心で、繊維質の多い野菜を多く取り、油をあまり使わずにあっさりした味に仕上げる和食は、低カロリーで脂肪も少なく、心臓病にかかりにくい食事として、健康に気を使うアメリカ人のあいだでは大変人気があるようです。


戦前の日本人は、心臓病や糖尿病、肥満などの病気が少なく、健康を保っていられたのは、何よりも和食という伝統文化のおかげだと思います。
せっかく和食といういい食習慣を持っていながら、戦後、欧米を目標に経済成長を続けるなかで、食事のほうも洋食志向になり、食習慣も随分変わってきています。子供が好むハンバーグ・カレー・スパゲティ・スナック食品に代表されるように、肉や動物性の脂肪を多く摂るようになり、砂糖も多く摂るようになっています。そして歯ごたえのないものを好む人が多くなっています。
日本人にはやはり“和食”が適しているのです。塩分を控えた和食は世界に誇る健康食なのです。しかし、お腹がいっぱいになるまで詰め込むような食べ方は、いくら和食が健康食だからといっても体に悪い影響を及ぼします。


たいていの人は、「健康にはなりたいけれど、好きなものをお腹いっぱい食べたい」というのが本音でしょう。最初から自分自身に厳しい食事制限を課しても長続きしません。徐々に理想的なパターンに近づくように、自分を慣らしていったほうがいいでしょう。そうして、よい習慣を生活の中に完全になじませ、長続きさせていくといいのです。
具体的なよい食習慣というのは、腹八分目を守って、調味料は全体的に薄味を心掛け、とくに塩分を控えめにすること、動物性の脂っこいものや甘いもの、カロリーの高いもの、インスタント食品などを偏食しないこと、などがあります。
小さい時、若い時はその悪影響がわからなくても、少しずつ少しずつ健康を損なっていく悪い習慣の典型ともいえます。私たちの健康は、こんな一見小さなことの積み重ねで守られていくのです。