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考え方や価値観について - vol.97 -

考え方や価値観は人それぞれ異なります。


口の中の健康をテーマに挙げても考えや価値観が大きく分かれます。
痛みがあればとりあえず痛みだけを抑えたい方、不具合があっても応急処置のみで本質は先延ばしし、その場しのぎのとりあえず治療を希望する方。
その反面、悪いところは徹底的に今のうちに早く治したい方、時間が掛かってもじっくりしっかり治したい方、と大きく分かれます。
もちろんしっかり治したいけどいろいろな諸事情で治せない方もいれば、治すチャンスがあるにもかかわらず治そうとしない方もいます。


処置するに当たり、歯を「削っても大丈夫」「削らないでほしい」も分かれます。

処置法により歯の削合が必要である場合でも、「必要性があるならお任せしますので削って頂いて構いません」と協力して頂ける方から、「歯を削ると弱くなるので削らないで処置して下さい」と拒否される方もいらっしゃいます。



材質選びにしても見た目重視、機能重視なども分かれます。

とにかく見た目を重視し、どんな部位・見えない部位でも白い素材を使用したがる方がいる反面、機能を重視したいので金属が見える状態でも構いませんと言われる方。



このように考え方や価値観は個々に異なりますのでその方のニーズに合わせた医療提示が大切になりますが… 処置にも限界があることも知っておいてください。



例えば…
とりあえず治療を行うだけで本質治療を遠ざけている場合は、いずれ大掛かりな治療が必要になったり、歯の保存が厳しくなったりする確率が高くなります。

また、必要性があっても歯を削らないで治療希望される場合は、正直できる治療がかなり限られ適切な処置とはほど遠いものになり、後々かえって悪い環境になってしまうこともあります。

そして何を重視するか?ですが… 
噛みしめ等があり奥歯に負荷がかかる環境やセラミックを被せるスペースがない場合は、見た目重視で良い状態を維持するのにはかなり厳しい条件です。よって奥歯は特に機能重視の環境を提案しても断固として見た目重視を選択される方は、処置後詰め物や被せ物の破損等が起きやすくなり、顎関節にも影響が出る場合もあります。




医療者も考え方や価値観が異なります。

できるだけ自分の歯を保存し、使えるところまで治療しようとする先生がいる反面、なるべく早めに抜いて次の治療を行う先生

なるべく神経を保存しようとする先生がいる反面、すぐに神経をとろうとする先生

根管治療をしっかり行い治そうとする先生がいる反面、根管治療した歯は脆いため早めに抜いてブリッジ・インプラント・義歯を勧める先生

歯の無い部分にブリッジを勧める先生がいる反面、ブリッジよりインプラントを勧める先生。

などなど医療者でも考え方や価値観が異なるため治療法にも違いがあります。




このように考え方や価値観が違うのは仕方ありませんが、専門家の意見をよそに自分の思い通りの考えや価値観を全面的に押し出した場合には、後々更なるトラブルが起こる可能性が多くなるため、じっくり話し合い、考えたうえでの選択をお勧めします。
また、医療者によっても治療法の考え方や価値観が異なるため、自分と考え方が異なる場合はセカンドオピニオンを求めることも必要だと思います。
そして自分で選択したことにも責任を持って治療を受けて頂きたいと思います。