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再植法

症例 10 - vol.99 -

47歳 女性




「現在通院中の歯科医院で奥歯2本の抜歯を勧められました。抜かないで治療できませんか?」と来院されました。



患歯2歯(矢印)の間には透過像を認め、被せ物が外れて時間が経過しているため隣接歯に接触しています。
第1大臼歯は治療する価値はありそうですが、第2大臼歯はむし歯が深くまで進行し歯質の脆弱が著しいため抜歯し、第3大臼歯を活用した計画を立案しました。
一番奥の歯(第3大臼歯)を利用できるのであれば、第2大臼歯を抜歯するのには抵抗が無いと同意されたため、治療することになりました。


 






第1大臼歯の仮封剤を除去し根管内診査をすると、口蓋根に穿孔(パーフォレーション)が認められ炎症性組織(矢印)が根管内に入り込んでいます。

穿孔部が広く分岐部に相当するため、確実な封鎖を行うため意図的再植法にて対応することになりました。









第1大臼歯の再植に先立ち遠心移動させながらExtrusionしました。


 
 







穿孔部と接する分岐部周囲に炎症性組織が存在します。
頬側根 口蓋根根尖の歯根膜組織が消失しています。


 








口蓋根根尖(矢印)は根管治療時に破壊された模様で、根管口から確認しても根管がかなり太い状態です。









口蓋根分岐部直下の穿孔(矢印)部分です。炎症性組織が認められます。








炎症性組織を除去します。



 







炎症性組織を除去すると、穿孔部(矢印)がはっきり確認できます。

   








根管内のカリエスを除去します。
すべてのカリエス除去が理想的ですが、今回の患歯は歯根表面ギリギリにしかも広範囲にまで及んでいたため、歯根膜組織を温存するうえで、全てのカリエスを完全に除去するのは困難な状況でした。歯根膜組織を保存することを優先したため、カリエスをぎりぎりまで可能な限り除去し、内面のみサホライド塗布を行いSB+コア材にて補強しました。

 









サホライド塗布したため、一部の歯根表面が黒色に着色しています。

 







分岐部穿孔部も塞ぎ、デブライドメントしました(矢印)。








再植直後
第2大臼歯は抜歯しました。








1ヶ月後








2ヶ月後








3ヶ月後








6ヶ月後








11ヶ月後
第2小臼歯 感染根管治療中 根尖病巣消失








1年3ヶ月後
第2小臼歯 根管充填型ファイバーコアにて補強しました。







矯正専門医院にて全顎矯正治療中 









5年後
全顎矯正終了








7年2ヶ月後
最終補綴物を装着しました。