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再植法

症例 3 - vol.60 -

54歳 女性



「5ヶ月前に冷たいものがしみたため歯科医院を受診すると、知覚過敏と言われ処置をしましたが治らないため転院しました。転院先で被せ物(インレー)の入れ替え治療を勧められたため治療を受けましたが、痛みが治まらず神経を取る治療をすることになりました。
現在も根管治療中ですが、治療後から激痛に襲われ、歯茎も腫れ痛み止めの薬も短時間しか効かない状態でした。主治医に相談するといつもと同じように根管治療をして下さるのですが、治療後は今までと同じように痛みます。自分でいろいろ調べた結果、マイクロスコープでの根管治療を受けた方がいいのでは…と思い、主治医に相談したら紹介状を書いてくださったので、こちらを受診しました。」と来院されました。





樋状根のようですが根尖部に薄っすら透過像が確認できます。根管治療中のようですが、治療しているのに根管形成したようには見えず、髄床底を深く形成した形跡があるため、分岐部が穿孔(パーフォレーション)している可能性もあります。
現在は以前ほどではないようですが痛みが続いているようです。(鎮痛剤服用中)








根管内診査すると入り口に綿栓が入っていました。根管口は拡大されていますが、根管内には根管治療をしている形跡がみられません。
分岐部側面に直径2mm強の穿孔(矢印)が認められました。

樋状根の分岐部に広範囲に穿孔が認められ、確実に穿孔封鎖するため根管治療を兼ねて意図的再植法にて対応することにしました。








再植に先立ち、穿孔部の消炎処置を行いExtrusionしました。


 








根尖に炎症性組織が付着しています。
歯根周囲に薄く茶褐色のような着色が認められますが、これは根管内の汚れが浮き通って見えているようです。









遠心部歯質にはクラック(矢印)も認められました。









分岐部の穿孔(矢印)ですが肉芽組織で塞がっています。





 


 



穿孔部からリーマーを入れると舌側分岐部から出てきます。









舌側分岐部から見た穿孔部です。








穿孔部をSBにて塞ぎました。





 






根管充填 穿孔部の修復 クラック修復 デブライドメントを行いました。
治療前の根管内の汚れによる歯根周囲の茶褐色の着色も改善されました。







再植直後








2週間後








1ヶ月後








2ヶ月後








3ヶ月後
根尖周囲と分岐部の透過像は消失しました。








5ヶ月後
ビルドアップ テンポラリーを装着して1ヶ月
安定しています。








6ヶ月後
ビルドアップ テンポラリーを装着して2ヶ月








7ヶ月後
MCrを装着しました。








1年11ヶ月後








3年後








4年10ヶ月後








7年1ヶ月後
経過良好です。