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破折歯の接着再植法

症例 12 - vol.72 -

44歳 女性


「20歳前に歯の神経を除去し金属歯を被せました。20年以上何の異常もなく過ごしていましたが、健診時に掛かりつけ医にむし歯かもしれないと言われたので、金属の被せ物を外しましたが、むし歯はなく再び金属の歯を被せました。
入れ直した金属の被せ物は以前とは違い何となく高く違和感があり、寝ている時に歯ぎしりのせいなのか「カキッ」と音がして目が覚め、朝起きた時に今までに味わったことがない痛みありました。その何日後かに歯肉が腫れたので、掛かりつけ医で根の治療を受けましたが消毒した綿を入れるだけで症状が変わらないため転院しました。
転院先の先生には、自分にまかせれば大丈夫と言われたので安心していたのですが… 根管治療と口腔内クリーニングを1ヶ月に2回のペースで繰り返しました。最初の1回だけマイクロスコープで治療してくれましたが、2回目以降はマイクロスコープも使ってくれず、説明を求めてもほとんど説明もなく、CTも2回撮ったわりにいつも診断が二転三転します。結果的に1年通院しましたが、噛んだ時の痛みと歯肉の腫れはそのままです。大丈夫だと言われたので、信じていたのですがほどほど不信感が募り、他の先生の意見を聞いてみたくなりました。」と相談で来院されました。





隔壁を作って根管治療中のようですが、お世辞にも隔壁の状態が良くありません。
咬合面から歯を押えると痛みがあります。
また近心根に透過像が認められ、根管内には根管充填剤らしき像も認められます。
分岐部にも炎症を起こしていそうな透過像が認められます。









仮封剤を除去し根管内診査を行ないます。
近心根は頬側 ~ 舌側にかけて破折線が認められます。(矢印)







近心根根尖手前の根管壁には根管充填剤(GP)が残っています。(矢印)
根尖孔手前には水酸化カルシウムも認められます。








遠心根には頬側下部にまで及ぶ破折線が認められます。








両方の歯根に破折線が認められ、かなり条件的に厳しい環境ですが、患者さんからできるだけ保存したいと強く希望されたため、破折歯の外部接着再植法を提案しました。
破折線が多いため、ダメージを極力与えないで一塊での抜歯に難がある場合、歯根分割抜歯する了解を得られました。
再植に先立ちExtrusionを行ないました。


 





近心の抜歯窩には歯肉の腫れの原因と思われる米粒大ほどの根管充填剤が認められました。
(矢印)

抜歯時 一塊での抜歯は温存する歯根・歯根膜組織にダメージを与える可能性か高かったため、分割抜去することになりました。








近心根の頬側は3つに割れていました。








舌側は歯根2/3までクラックが認められます。クラックに沿って汚れ(バイオフィルム状)が認められます。







遠心根の頬側一部の歯質がクラックに沿って剥離していました。









近心根の3分割された歯質を接着修復しました。







近心根舌側のクラックも同様に接着修復しました。


 





根尖孔もSBにて塞ぎました。

 






遠心根頬側のクラックも接着修復しました。








遠心根遠心面の2/3程歯根膜組織が消失しています。







再植直後







10日後







1ヶ月後
近心根根尖部の透過像が縮小してきました。







2ヶ月後
安定しています。







3ヶ月半後







5ヶ月後
近遠心根とも根尖部の透過像が消失し、歯槽硬線も明瞭になってきました。







8ヶ月後
固定を除去し2ヶ月後 ビルドアップ







9ヶ月後
両根の根尖周囲の骨は緻密化しましたが、分岐部への食片圧入による炎症が元で分岐部の歯肉が裂け、骨の一部が露出してきました。分岐部の骨の一部が分離(腐骨と思われる)していたため分岐部の骨整形を行ないました。








1年4ヶ月後
分岐部の歯肉が安定したため、最後臼歯との清掃性を考慮し遠心根を少し近心に移動しました。







1年7ヶ月後
最終補綴物を装着しました。
残念ながら分岐部の骨が少し下がってしまいましたが、保存できました。