破折歯の接着再植法
症例 10 - vol.61 -
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30歳 女性
「現在通院中の歯科医院で歯根破折の疑いがあるため、抜歯してインプラント治療を勧められました。できるなら抜歯を避けたいのですが…」と相談で来院されました。
患歯の頬側には大きなサイナストラクト(旧名 フィステル)と腫脹が認められ、レントゲン診査では破折線は認められませんが骨吸収像が確認できます。
動揺があり遠心の歯周ポケットから排膿も認められました。
MCr Abut 余剰セメントを除去すると近心頬側根~口蓋根にかけて破折線が確認できます。
歯の温存を強く望まれたため、外部接着再植法にて対応することにしました。
外部接着再植法に先立ち遠心移動させながらExtrusionを行います。
抜歯してみると、分岐部には多量の炎症性組織(不良肉芽)が存在します。
不良肉芽を除去すると遠心根内壁に著しい汚れ(バイオフィルム状)とセメント質の添加が認められました。
周囲の歯根膜組織に思ったほどダメージがなく、ダメージが分岐部に集中していることから、クラックと髄床底から根分岐部歯根膜に通じる副根管のひとつの髄管の存在が根分岐部病変を悪化させていた原因になっていたかもしれません。
クラックは近心頬側根~口蓋根の根管内に留まり、髄床底への穿通も認められませんでしたが、髄床底部のセメント質の添加をデブライドメントすると、クラックの一部と交通が認められました。
接着修復及び感染が著しい部分の歯根端切除及び髄床底の修復を行いました。
再植直後
3週間後
1ヶ月半後
骨が少し回復傾向にあります。
3ヶ月後
近遠心ともに歯槽硬線が認められるようになり、透過像も縮小してきています。
4ヶ月半後
透過像が更に縮小してきました。
6ヶ月後
8ヶ月後
ビルドアップを行ないテンポラリー装着
9ヶ月後(テンポラリー装着1ヶ月後)
安定しています。
患者さん曰く、ふつうに噛めるようです。
11ヶ月後(テンポラリー装着3ヶ月後)
歯根周囲の透過像はほぼ消失しました。智歯が萌出してきているようです。
1年1ヶ月後
MCrを装着しました。
1年4ヶ月後 MCr装着3ヶ月後
問題なく噛めるようです。
2年11ヶ月後
透過像はほぼ消失し良好に経過しています。
4年8ヶ月後
5年10ヶ月後
9年後
経過良好です。
「現在通院中の歯科医院で歯根破折の疑いがあるため、抜歯してインプラント治療を勧められました。できるなら抜歯を避けたいのですが…」と相談で来院されました。
患歯の頬側には大きなサイナストラクト(旧名 フィステル)と腫脹が認められ、レントゲン診査では破折線は認められませんが骨吸収像が確認できます。
動揺があり遠心の歯周ポケットから排膿も認められました。
MCr Abut 余剰セメントを除去すると近心頬側根~口蓋根にかけて破折線が確認できます。
歯の温存を強く望まれたため、外部接着再植法にて対応することにしました。
外部接着再植法に先立ち遠心移動させながらExtrusionを行います。
抜歯してみると、分岐部には多量の炎症性組織(不良肉芽)が存在します。
不良肉芽を除去すると遠心根内壁に著しい汚れ(バイオフィルム状)とセメント質の添加が認められました。
周囲の歯根膜組織に思ったほどダメージがなく、ダメージが分岐部に集中していることから、クラックと髄床底から根分岐部歯根膜に通じる副根管のひとつの髄管の存在が根分岐部病変を悪化させていた原因になっていたかもしれません。
クラックは近心頬側根~口蓋根の根管内に留まり、髄床底への穿通も認められませんでしたが、髄床底部のセメント質の添加をデブライドメントすると、クラックの一部と交通が認められました。
接着修復及び感染が著しい部分の歯根端切除及び髄床底の修復を行いました。
再植直後
3週間後
1ヶ月半後
骨が少し回復傾向にあります。
3ヶ月後
近遠心ともに歯槽硬線が認められるようになり、透過像も縮小してきています。
4ヶ月半後
透過像が更に縮小してきました。
6ヶ月後
8ヶ月後
ビルドアップを行ないテンポラリー装着
9ヶ月後(テンポラリー装着1ヶ月後)
安定しています。
患者さん曰く、ふつうに噛めるようです。
11ヶ月後(テンポラリー装着3ヶ月後)
歯根周囲の透過像はほぼ消失しました。智歯が萌出してきているようです。
1年1ヶ月後
MCrを装着しました。
1年4ヶ月後 MCr装着3ヶ月後
問題なく噛めるようです。
2年11ヶ月後
透過像はほぼ消失し良好に経過しています。
4年8ヶ月後
5年10ヶ月後
9年後
経過良好です。
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