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破折歯の接着再植法

症例 1 - vol.16 -

55歳 女性



「以前は時々ほっぺた側におできが出来ては消えを繰り返していましたが、最近はいつもおできがあるため掛りつけ医に相談したら、何でもないから大丈夫と言われました。」

本当に大丈夫なのか心配になり当医院に相談に見えました。




頬側にサイナストラクト(旧名 フィステル)があります。

レントゲン写真
遠心部の一部に骨吸収像を認めます。

何でもないのにこのようにおできができたり、骨が溶けることは通常ではあり得ません。
少しでも自分の歯を長持ちさせたいという希望から、原因を探りながら再治療をすることになりました。







再根管治療を行うため補綴物を除去すると、遠心部に破折を認めました。








補綴物を除去したレントゲン写真では骨吸収部に破折がとどまっているようです。
 (水酸化カルシウム製剤貼薬済)







サイナストラクトよりGPを入れてみると遠心部の骨欠損部に穿通します。
歯根破折が原因でサイナストラクトができることがこれではっきりとわかりました。


破折がありましたが、患者さんが歯の保存を強く望まれたため外部接着再植法を行うことにしました。







抜歯してみるとみごとに破折線周囲の歯根膜はありません。 破折線(矢印)







歯根の一部が破折し分離していました。









破折片の接着修復 研磨を行いました。







再植直後
破折部の接着と根管内の治療そして将来的に支台治療を行なうためのガイド(GP)挿入を終え、定位置に縫合固定しました。
4日後に消毒・抜糸にお見えになりましたが、とても安定していました。








3ヶ月後 
問題なく安定しています。








4ヶ月後(テンポラリ―を装着して3ヶ月後)
破折していた周囲の骨が回復してきたのが確認できます。







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1年後
手前の歯の治療を希望されたため、補綴物除去を除去しテンポラリー装着中
破折部周囲の骨が周囲と見分けがつかないほど回復しています。








1年7ヶ月後(補綴物装着1ヶ月後  補綴物は技工士のご主人が製作)
両歯とも咬合高径がないため連結冠で対応しています。
遠心部の骨は完全に回復しています。








2年7ヶ月後(補綴物装着1年1ヶ月後)
調子良く噛めるようです。
第2小臼歯のインレーが脱離し、一時セメント充填済








4年1ヶ月後
経過良好です。