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難しい再根管治療

症例 18 - vol.90 -

53歳 女性




「何年か前に治療を終えたのですが、治療直後から噛むと違和感があったり重たい感じがあります。何度か掛かりつけ医に相談したのですがそのたびに問題ないと言われるだけなので別の歯科医院に診察に行くと、根の先に炎症があるので抜歯してインプラントを勧められました。もう1件相談に行ったらやはり同じように抜歯してインプラントか入れ歯を勧められました。現在違和感程度の症状しかないのに今すぐ抜歯してインプラント治療や 入れ歯をするのにとても戸惑いがあり、本当に抜歯しなければいけないのか? 他に治療法がないのか? 悩んでいました。そのことを仕事場の同僚に話したら、同僚も何年も悩んで何件も歯科医院を変えても治らなかった歯を舩坂先生に治療してもらってから今までが何だったんだろうか?というくらい症状も消え、具合が良くなり快適と聞き、どうしても自分も一度診察して頂きたくて…」と相談で来院されました。




近心根根尖に透過像が認められます。(囲い 黄)
また近心根下部にリーマー・ファイルの破折片が確認できます。この破折片は屈曲した歯根の下部に位置し、歯根が細く破折したファイルが太いため根管内から除去するにはリスクが高そうです。

患者さんといろいろ話し合い、顎関節症を患っているため休みながらの治療は可能ですが、開口状態での治療は5分程度が限界のため、根管内からの除去は諦め、再植法にて対応することにしました。しかし、一塊で行うには遠心根根尖が肥厚し抜歯時のトラブルを避けるため、分岐部で分割し、近心根を再植にて対応することにしました。








再植に先立ちプロビジョナルレストレーション(咬合面メタル)を製作し、遠心根の再根管治療 貼薬 そして、歯根を分割 近心根のExtrusionを行います。








順調に挺出してきました。


 

 







根尖の頬側に炎症性組織が認められ、根尖部には歯根吸収が認められます。








近心頬側根からは超音波振動によって根管に残っていたファイルが折れたか定かではありませんが、3つのファイル破折片 近心舌側根からは1つのファイル破折片が除去できました。

 
 








ファイル破折片除去 根管治療 根管充填 デブライドメントを行いました。








再植直後
将来的な清掃性を考慮しやや近心寄りに固定しました。








1ヶ月後
透過像が縮小してきました。








2ヶ月後








5ヶ月後
近心根根尖部の透過像はほぼ消失しました。








8ヶ月後








1年1ヶ月半後
最終補綴物を装着しました。








2年1ヶ月半後
経過良好です。








4年後








5年1ヶ月後