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難しい再根管治療

症例 17 - vol.89 -

43歳 女性




「今まで通院していた歯医者で前歯の根管治療を終え、最終的なブリッジを入れる予定でしたが、根管治療した歯に違和感があり不安があります。せっかくならしっかりとした前歯を入れたくて自由診療専門の歯医者を探していたら舩坂歯科医院の存在を知りました。前医で歯のないところに部分的な歯が残っているため、除去を勧められました。除去したうえで治した方が良いでしょうか?そしてしっかり治したいのですが…」と来院されました。




3歯にテンポラリーが装着されています。(矢印)





15歳の時に膝で前歯をぶつけて折りました。その時の治療は覚えていませんが、その後症状がなかったので今までこの状態で放置していたそうです。歯のどの部分かわかりませんが、硬組織と思われる不透過像が確認できます。(矢印 黄)
また根管治療が終わった直後(矢印 赤)のようですが… 根尖部の根管充填が緊密ではなく、充填剤が根尖周囲から飛び出しています。また根尖周囲には透過像を認め、これは病巣が存在しているのか 治療により縮小してきているのか現時点で判断できません。また、ファイバーポストによる支台築造が終了していますが、かなり根管形成も太く、根管充填剤との境界部分の段差が気になります。
しかし、隣接している硬組織と近接し接触しているようであれば、将来的に問題が生じる可能性があるため、患者さんと相談し、埋伏している硬組織が抜歯可能なら抜歯し、その後の経過で治療済の歯の対策を検討することにしました。

○○病院 歯科口腔外科へ診査依頼
CT検査の結果  「埋伏歯は口蓋側寄りに位置し骨と癒着している可能性が高いです。そして隣在歯(側切歯)との接触はデンタルでは接触して見えますがCTでは接触していないため抜歯しないでも大丈夫かと思われます。もし仮に抜歯した場合かなりの骨削合が必要になるため、審美的要素が損なわれる可能性があります。利点欠点を踏まえたうえで検討しましょう。」という結果になったため、埋伏歯は現状維持で治療することになりました。







再植に先立ち仮歯を新しくし、Extrusionを行います。







挺出してきました。








抜歯窩に水酸化カルシウムが認められます。

 







水酸化カルシウムが絡みついた嚢胞を除去します。


 








唇側根尖周囲の歯根膜組織が消失しています。


 






根尖周囲を観察すると…
主根尖孔(矢印 赤)のほかに側枝(矢印 黄)が存在しました。 








主根尖孔の洗浄 形成








側枝の洗浄 形成

 







唇側歯頚部付近にルートプレーニングによる歯質欠損が広範囲に認められました。(囲い)


 








再根管治療 根管充填 欠損歯質再建 デブライドメントを行いました。








再植直後









1ヶ月半後








2ヶ月半後
根尖周囲の歯槽硬線が明瞭になってきました。








4ヶ月後
ビルドアップ テンポラリーを装着して1ヶ月後
歯槽硬線が明瞭です。









6ヶ月後
最終補綴物(オールセラミックブリッジ)を装着しました。