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難しい再根管治療

症例 11 - vol.71 -

59歳 男性



「噛むと痛い 7~8年前に治療した歯なのですが… 心配です。」と来院されました。



遠心に少し湾曲している歯根ですが、根管充填はストレートです。
根管上部に死腔が存在していそうで、根尖部に怪しい透過像があるような ないような 疑わしいです。


再治療を希望されました。

MCrを除去すると、根管から根管充填剤と一緒に綿が出てきます。根管治療中のワッテの取り残しと思われます。
患者さんは歯科技工士さんでお得意先の先生に治療して頂いたそうです。とにかく治療が早く大雑把なところが気になっていたようですが、意見することはできないため、なされるがままに治療を受けたそうです。
また患者さん情報では、2回目の根管治療中 すごい痛みがあり、そのとき「穴が開いたかも…」と先生がつぶやいたことが脳裏に焼き付いているそうですが、その後詳細説明がないまま治療が完了したようで、最終的に何があったかも聞けずじまいで今だに悶々としているようです。


ここで患者さんと治療方針の再検討


「家内の歯の治療もほとんどその得意先の先生に治療して頂き、正直あまり調子が良くないため、時間をかけて舩坂先生にほとんど再治療して頂きました。お陰様で現在は以前とは違い調子が良いと喜んでいますし、特にお得意先の先生が抜歯しようとしていた歯根破折歯は、腫れを繰り返し、噛むと痛みがあったようですが、先生の再植接着治療で嘘のように何も気にならなく噛めるようになったことはとても感謝しています。」自分も根管に綿が入っているような信用できない治療を受けて心配なのと、この歯の詳細を知りたいのと、より確実な治療を受けたいため再植での治療を希望されました。






再植に先立ちExtrusionを行います。(claspタイプ)







順調に挺出してきました。




 





根尖周囲の歯根膜組織が消失しています。


 







近心根管内のカリエスを除去すると、皮一枚ほどの歯質が残りました。(囲い)
その外側の歯質にはクラックが入っていました。(矢印)
(抜去歯固定器具は当医院オリジナル特注治具  株式会社ジーアクトさん製作)








根管充填剤(GP)を除去します。










GPと一緒に綿栓が入っているようです。
感心できない根管治療です。









根管充填剤を除去すると、舌側遠心寄りにクラックが確認できます。(矢印)


 






根尖孔手前の根管内遠心部に石灰化? したような白色物があります。








根尖孔(矢印)は湾曲した側面に存在し、根管内壁に存在した白色物の外側と一致しているようです。








白色物と根尖孔の位置的関係を明確にするため根尖孔より探ります。


 





根尖孔よりリーマーを挿入すると、白色物と同部位にリーマーが確認できます。(矢印)








クラック処理 白色物を除去しました。








再度リーマー(矢印 赤)を根尖孔より挿入すると、人工的に根管形成された位置(矢印黄)と明らかに異なる箇所に確認できます。
根管壁に付着していた白色物は、根尖孔が遠心面あるにもかかわらず、ストレートに根管形成 根管充填がなされたことで、生体の防御反応なのか?根管内の根尖孔周囲に何かしらの石灰化物が添加したのではないでしょうか。


 


 






根管治療 根管充填 クラック修復 デブライドメントを行いました。








再植直後







1ヶ月後







2ヶ月後
骨が回復し歯槽硬線が確認できます。








6ヶ月半後
補綴物(MB)を装着しました。(歯科技工士の患者さんが自分で製作)