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難しい再根管治療

症例 9 - vol.62 -

49歳 男性




「急に歯が痛みだし、掛かりつけ医に相談したところ 何ともないよ!と診断されましたが、痛みが徐々に強くなり痛み止めを服用しないといられず夜も寝むれません。炎症を起こしていると思うのですが… きちんと診察して頂きたい。」と来院されました。



レントゲン診査で大きな病巣が確認できます。
これほどの病巣をどうして見逃したのか? 不思議です。







補綴物を除去し、根管充填剤を根尖付近まで除去していくと膿が見え始め、充填剤の隙間から根管内全体に膿が溢れ出てきました。







根管充填剤を全て除去しました。
感染根管治療でも病巣は治癒に向かうと思いますが、根尖部付近に黒色に濃い着色が認められ、レントゲン像でも根尖周囲の形態が微細な凹凸になっているため、根尖孔外周囲にも感染が取り巻いていると判断できます。
長期的観察では感染根管治療のみでは将来的な予後に不安が残るため、確実な処置を施すために意図的再植法を選択しました。









根管が太いため抜歯時に破損を回避するため、意図的再植法に先立ちExtrusionを行いました。(仮貼薬済)

 






歯根嚢胞を除去します。








抜去歯を観察すると根尖部に汚染が認められ、口蓋側の歯根膜組織がダメージを受けています。








根尖部を拡大して見ると、汚染により根尖孔が破壊されています。
感染根管治療でこの感染部を確実に除去するのは困難でしょう。








根尖部の汚染を削合します。







汚染部を取り除くと、1,5mm ~ 2mm程の根尖孔になりました。
この根尖孔の感染を根管治療で除去できたとしても、根尖孔を確実に塞ぐ根管充填は限界があるでしょう。










根管内の唇側 口蓋側にマイクロクラック(矢印)が確認できます。








マイクロクラックの補強 根管充填 歯根端切除 逆根管充填 デブライドメントを行いました。







再植直後







1ヶ月後







1ヶ月半後







2ヶ月半後(連結テンポラリーを装着して1ヶ月後)
根尖部周囲の透過像が縮小してきています。







3ヶ月半後
根尖部周囲の透過像がさらに縮小してきました。







8ヶ月後







1年3ヶ月後  補綴物装着時







1年4ヶ月後  補綴物装着1ヶ月後
問題なく良好に噛めるようです。







4年10ヶ月半後
根尖病変の名残り(不完全治癒傾向)はありますが、日常生活には支障なく経過良好です。