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難しい再根管治療

症例 8 - vol.59 -

32歳 女性



「7~8年前に神経除去の治療を受けました。1年前から噛むと痛みがあり、銀歯の被せ物を外して根の再治療を受けました。しかし半年間治療しても痛みが治まらなかったため転院しました。転院先で再び根管治療しましたが、結果は同じでCTを撮っても異常が見つからないと言われました。最近は治療を繰り返すたびに痛みが増してきているので、早く痛みから解放されたいのですが…」と不安で来院されました。





根尖部に透過像が認められるため、感染があると思われます。(赤 囲い)
咬合痛があるため、前医で咬合面は対合歯と当らないよう調整されてあります。








根管内診査
根管は3根管(頬側近心根・頬側遠心根・口蓋根)存在し、3根管内全てに根管充填剤の取り残しが認められます。






取り残しの根管充填剤を除去しましたが、口蓋根は根尖手前、頬側2根は根尖より1,5mm程手前でリーマーが入らず穿通しません。

5~6年前に全顎矯正を終え、矯正後から左側顎関節症になり長時間の開口ができません。
(開口は7~8分間が限界のようです。)
顎関節症により長時間の感染根管治療が困難な状態で、根尖閉鎖、根尖病巣が認められ、早めに痛みから解放させるため、意図的再植法にて対応することにしました。








患歯の手前の第1大臼歯がむし歯で、更に再根管治療を望まれたためテンポラリーに置き換え、意図的再植法に先立ち患歯のExtrusionをしました。







抜歯窩には炎症性組織は確認できません。




 





口蓋根周囲~分岐部にかけて歯根膜組織のダメージがあるようです。







口蓋根の根尖孔(矢印)は確認できますが、頬側2根の根尖部を拡大し根尖孔を丹念に探しましたが見つかりません。







頬側遠心根に根管からリーマーを挿入すると、根尖手前2mm程でリーマーが入りません。







口蓋根も根尖手前でリーマーが穿通しなかったため、根尖側からアプローチしました。







頬側2根は根尖孔も確認できず、根尖手前でリーマーが穿通しないため、歯根端切除を行ない根管を見つけることにしました。








頬側2根は1,5mm程根尖を削合すると根管が見つかり、頬側遠心根の根尖孔を根管拡大すると、内面がかなり汚染されているのが確認できます。







汚染されている根管内面を根尖より超音波ファイルにて清掃します。


 







再根管充填 逆根管充填 デブライドメントを行いました。







再植直後
上顎洞との位置関係からExtrusionを終えた位置で固定しました。







1ヶ月後
根尖の透過像は消失しました。







2ヶ月後
安定しています。







3ヶ月後







6ヶ月半後(ビルドアップ テンポラリーを装着して2週間後)
第1大臼歯は再根管治療中(貼薬中)







7ヶ月半後(第1大臼歯 根管充填時)







10ヶ月半後
MCr (単冠) 装着
(再植歯は清掃性を考慮し、遠心に歯牙移動済)