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難しい再根管治療

症例 3 - vol.44 -

40歳 男性



「奥歯で噛むと違和感がある」と来院されました。



奥から2番目の近心根根尖に根尖病巣と思われる透過像が認められます。
感染根管治療で対応できそうですが、仕事が忙しいため治療時期は未定に…





2週間後
「上の歯と触れただけでかなりの痛みがある」と再来院されました。
近心根根尖の透過像は急性炎症により拡大しています。
急性炎症を抑えるため投薬と咬合調整を行いました。






2ヶ月後
仕事が一段落したため補綴物の除去と近心根の感染根管治療を開始しましたが、2根管(近心頬側根・近心舌側根)ともリーマーが根尖手前でストップし、穿通しません。
日を改め再度トライしましたが、根尖手前2~3mm程手前でリーマーが穿通しません。
根尖孔に穿通しないためこのままでは治癒する可能性は薄いため、分割再植治療で対応することにしました。






再植に先立ち、分割とExtrusionを行います。






順調に挺出してきました。






再植前


 






根尖病巣と接していた歯根膜の付着は認められません。根管は2根管存在していますが、感染源と関連性があると思われていた根尖孔が認められません。







根尖を2mm弱切除しました。(歯根端切除)
1根の根尖孔は認められましたが、もう1根は完全に閉鎖しています。






閉鎖している根尖を根管内と根尖側から慎重に穿通します。






この2根管は根管内と根尖側から拡大観察すると大臼歯近心根などの扁平歯根に多くみられるイスムスが存在していました。
このイスムスは形態から根管治療での機械的清掃が困難で、細菌や壊死歯髄などが残存しやすいため、このイスムスが感染源と関連していることも考えられます。
2根の間に存在しているイスムスを超音波ファイルで慎重に機械的に除去し、根管充填及び逆根管充填を行いました。






再植直後
遠心側のフェルールを確保するため、縁上で固定しました。






1ヶ月後
透過像が縮小してきています。





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9ヶ月後
骨が徐々に回復し、歯根端切除した根尖部の歯槽硬線が確認できます。
遠心根近心は分岐部の清掃性を考慮し、再植3ヶ月後に削合形成済






11ヶ月後
根尖周囲の骨が更に緻密になってきました。






1年2ヶ月後
補綴物装着(連結補綴物のマージンは歯肉縁上に設定)