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その他

症例 3 - vol.91 -

36歳 男性




「5年前に高周波で抜髄し3Mix治療を受けましたが経過が悪いため転院しました。その後転院先で再治療し銀歯を被せました。2年前に金属アレルギーの疑いから銀歯をセラミックに変える治療を受け、その時に分岐部病変を指摘されましたがそのまま治療を受けました。1ヶ月半~2ヶ月前にセラミックが欠け、その後セラミックが脱離したため歯科医院を受診すると、歯根破折の疑いがあるので抜歯してインプラントを勧められました。金属アレルギーの疑いがあるのでインプラント体のチタンを埋め込むのが怖いためこの歯を抜かずにすむなら抜きたくないのですが…」と来院されました。



分岐部で歯根破折が認められ、分岐部周囲 近心根 ~ 遠心根遠心面にかけて透過像が認められます。
遠心根上部の根管と重なった楕円形の透過像は穿孔も疑われます。
また歯根上部の歯質がカリエスになっている像も認められます。

今の時点で歯を抜くことは考えられず、他に影響がないようならもう少し様子をみて計画したいと希望されたため、自然挺出させながらブラッシング指導を開始しました。








3ヶ月後
挺出してきていますが、分岐部の透過像が広がってきています。
保存はなかなか厳しい状況で、保存できたとしても本来の機能をさせることは更に厳しい状況ですが、患者さんから他に害を及ぼしていない状態でただ抜くだけの治療は後悔するので、ダメもとでやれるだけの治療をお願いしたいと強く希望されました。
骨縁下カリエス 歯根破折 穿孔 分岐部病変 根尖~歯根周囲透過像と悪条件の総合的な処置を行うため、意図的再植法にて対応することにしました。









外科処置に先立ちExtrusionを行いますが、近遠心根が破折分離しているため歯根に装着する装置(wire)でこれ以上の分離を抑えながらExtrusionを行います。


 







多少の分離はありますが順調に挺出してきました。










抜歯直後



 







破折線を合わせて元の位置に戻してみると、頬側分岐部周囲のむし歯は予想以上に広範囲に広がっています。(囲い)











舌側にはむし歯の進行は認められませんでしたが、遠心根の舌側には大きな穿孔(2mm程)が存在しました。(矢印)











再根管治療 根管充填 穿孔修復(パーフォレーションリペア) 欠損歯質の再建 デブライドメントを行いました。










再植直後
歯間の間隔を均等に位置決めし固定しました。










1ヶ月後










2ヶ月後










3ヶ月後










4ヶ月後
wire固定が脱離したため来院 
根尖周囲の透過像は消失し歯槽硬線が認められます。
両根とも生理的動揺のため両根のみの固定に切り替え、仮歯を入れる前の咀嚼準備運動を行うことにしました。










6ヶ月後
ビルドアップ テンポラリーを装着して1ヶ月後










1年1ヶ月後
歯槽硬線が明瞭です。










1年7ヶ月後
最終補綴物を装着しました。