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その他

症例 1 - vol.33 -

53歳 女性  (トライセクション)



「2 ~3日前から右上の奥歯が腫れ、冷たいものがしみて、噛み合わせると痛いため掛かりつけ医に相談すると、歯の揺れがひどいので抜いてインプラントにしましょうと言われました。インプラントは避けたいのですが…」と患者さんの紹介で来院されました。






レントゲン診査で最後臼歯の近心の根尖付近までの骨に影響が出ています。
咬合調整と消炎処置を行い様子をみてから治療方針の立案を提示することにしました。






その後調子が良かったので来院が途絶えました。(前回より1年半後の来院)
根周囲の骨の吸収が進み、歯が挺出してきています。
対合歯が存在するのにこれだけの挺出があるため、噛み合わせるととても痛み著しい動揺(上下の動揺)があります。冷たいものも極端にしみるようになっています。
詳細をお伺いすると、右の歯をかばうように極端に左にずらして噛み合わせる習慣になっていたようで、最近左にずらしても右の歯が下の歯に触れ、自分で噛み合わせの調整をしながら噛むことに限界がきたようです。
実際には左側に1cm程ずらして噛み合わせている状態でした。
咬合させて痛みが出ないところまで咬合調整を行いました。







1ヶ月後
骨吸収像が軽減していますが、歯髄炎症状が治まらないため、抜髄を行うことにしました。







抜髄後3ヶ月
骨が随分回復してきましたが、口蓋根周囲から排膿が続いています。
口蓋根周囲の骨に回復傾向がない(歯周ポケットが深いまま)ため口蓋根の抜根を行うことにしました。








口蓋根抜根後10日後







1年後
抜根後経過を見ていましたが経過良好のため、プロビジョナルレストレーションを仮着しました。(根管内は水酸化カルシウム製剤貼薬中)







3年半後
特に問題なく経過しています。


著しい骨吸収は咬合由来から発症した症例と思われます。根管治療及び口蓋根抜根は避けられませんでしたが、骨が回復しました。
咬合が安定してから歯の動揺の治りが早かったのですが、スケーリングおよびルートプレーニングを歯根膜組織を保護する目的であえてしなかったことがここまでの骨の回復に結び付いたと感じます。