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自然挺出法

症例 1 - vol.21 -

59歳 女性



「奥の歯で噛むと違和感を感じ、持ち上がる感じなので診て欲しい」と来院されました。



2歯欠損(65欠損)の4本ブリッジ(74支台)ですが、後方歯(7)の補綴物が支台ごと外れ、残っている歯根周囲の骨も炎症によりかなり溶けているようです。また近心根の支台は穿孔しているようです。
この時点で患者さんからの希望は、「入れ歯・インプラントは絶対に避けたいです。そしてできることなら少しでもこの歯を残せればお願いしたいです。」とかなり厳しい提示でした。
悩みましたが…   
「抜くことはいつでもできますから、悪影響を及ぼしている補綴物を除去し、その状態でどうなるか少し観察してみましょう。その後はそれから考えるということであれば…そしてこの時点であまり大きな期待を持たないで下さい。」と理解して頂いた上で、自然挺出でどのような変化が起こるか経過を見ることにしました。






ブリッジ除去後3ヶ月
挺出とともに根が少し移動してきました。補綴物除去直後よりは動揺はありませんが、まだ動揺はあります。







ブリッジ除去後7ヶ月
自然挺出により遠心頬側根のポケットが浅くなりましたが、排膿・動揺が治まらないため抜歯することにしました。







ブリッジ除去後10ヶ月  遠心頬側根抜歯後3ヶ月
近心根が傾斜し、分岐部に穿孔していた歯質の脆弱が気になります。
遠心舌側根は全く動揺しなくなりました。







サホライド塗布しているため、歯質の一部黒くなっています。
患者さんと相談し、手前残存歯(4)と遠心舌側根のみでプロビジョナルを装着し、経過を見ることにしました。







5年程経過観察していましたが、年に数回プロビジョナルが脱離する程度で、手前残存歯と遠心頬側根のプロビジョナルで生活していても何ら問題がないため、不安の残る近心根は抜歯し、遠心頬側根は支台築造(全部帯環式)することにしました。
支台を装着してからさらに1年経過観察し、仮着の脱離以外これといったトラブルが起こらないため、最終補綴物計画を立てました。







中間欠損のロングスパンブリッジを作製し、仮着で観察しました。
数ヶ月間特に問題がなさそうなので、合着しました。








1年後 
調子良く過ごされているようです。








3年後
今のところ特にトラブルもなく、調子が良いそうです。







4年後







5年後
経過良好です。
かなりリスクの高いブリッジ形式ですが、口腔内清掃状態が常に良く、咬合関係が安定している結果が良い経過を辿っていると思います。
これから先も見守りたいと思います。







6年後
経過良好です。