トップページ > 救済治療・再生療法 > 歯の挺出(Extrusi … > vol.34 症例 3 …


歯の挺出(Extrusion)

症例 3 - vol.34 -

48歳 女性  (矯正的挺出)



「食パンを食べていた時にボキッと音がし、近隣の歯科医院を受診。その後噛むとぐらつき始め、補綴物が脱離し再び相談すると、歯根破折と診断され差し歯ではもうやり直せないので抜歯してインプラントを勧められました。その場は再合着し抜歯して状態が落ち着くまでの間に入れる義歯の型まで採りましたが、どうしても抜きたくないのでその後ネット上で○○先生に相談したところ、こちらを紹介されたので受診しました。」と来院されました。




初診時
患歯の唇側周囲の歯肉は赤みを帯び、側切歯の唇側近心にフィステルが見られます。再合着したためか周囲の歯を比較しても明らかに噛み合わせが強い状態でした。
レントゲン写真では破折線は確認できませんが、ポスト先端と同一付近の骨が溶けていることから何かしらの炎症があると想像できます。






その後再合着した補綴物が脱離したため来院されました。
遠心部にフィステルが1つ増えていました。
根管内を観察すると唇側の歯根の一部の破折が確認できました。









破折片が比較的しっかり歯根膜組織と付着していたため、破折片を温存する治療(破折歯の外部接着再植法)もしくは破折片の除去を主体とする治療法にするか迷いましたが、どちらの治療法にも有効なExtrusionにて経過観察後、最終判断することにしました。








2週間後
順調に挺出してきています。







2ヶ月後
予定していた位置まで挺出させ固定しました。
Extrusionして1ヶ月後に定位置まで挺出させたところフィステルは消失し、非常に状態が良かったため、この時点で破折片を除去する治療法を提案しました。








除去した破折片







テンポラリーを仮着して4ヶ月後
周囲の骨が回復し、緻密化しています。








最終的に残存した歯根








フェルールが一部しか確保できないためメタルの部分帯環式の支台を装着









MBにて最終補綴
歯肉の歯頚ラインも揃いました。
レントゲン写真でも安定している様子がわかります。

Extrusionさせることで歯根は短くなりますが、このように温存させることも可能です。







補綴装着2ヶ月半後
歯肉もより安定し良好に経過しています。








補綴装着1年6ヶ月後
患者さんの日頃の素晴らしいケアによって、歯肉がとても健康的な状態で補綴物ともマッチングしています。
骨も安定しています。